• "農業協同組合"(/)
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  1. 岐阜県議会 2022-02-01
    03月16日-06号


    取得元: 岐阜県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    令和 4年  2月 定例会(第1回)…………………………………………………………………………………………… △議事日程(第六号)                  令和四年三月十六日(水)午前十時開議 第一 議第十五号から議第二十六号まで 第二 議第一号から議第十四号まで、議第二十七号から議第五十八号まで 第三 請願第三十一号から請願第三十三号まで 第四 一般質問…………………………………………………………………………………………… △本日の会議に付した事件  一 日程第一 議第十五号から議第二十六号まで 一 日程第二 議第一号から議第十四号まで、議第二十七号から議第五十八号まで 一 日程第三 請願第三十一号から請願第三十三号まで 一 日程第四 一般質問…………………………………………………………………………………………… △出席議員 四十六人      一番   平野恭子君      二番   森 治久君      三番   山内房壽君      五番   森 益基君      六番   小川祐輝君      七番   平野祐也君      八番   所 竜也君      九番   今井政嘉君      十番   藤本恵司君     十一番   中川裕子君     十二番   伊藤英生君     十三番   澄川寿之君     十四番   水野吉近君     十五番   安井 忠君     十六番   恩田佳幸君     十七番   若井敦子君     十八番   広瀬 修君     十九番   布俣正也君     二十番   国枝慎太郎君    二十一番   林 幸広君    二十二番   高木貴行君    二十三番   野村美穂君    二十四番   長屋光征君    二十五番   高殿 尚君    二十六番   田中勝士君    二十七番   加藤大博君    二十八番   山本勝敏君    二十九番   松岡正人君     三十番   川上哲也君    三十一番   松村多美夫君    三十二番   小原 尚君    三十三番   水野正敏君    三十四番   野島征夫君    三十五番   伊藤秀光君    三十六番   平岩正光君    三十七番   佐藤武彦君    三十八番   森 正弘君    三十九番   渡辺嘉山君     四十番   伊藤正博君    四十一番   小川恒雄君    四十三番   村下貴夫君    四十四番   尾藤義昭君    四十五番   藤墳 守君    四十六番   玉田和浩君    四十七番   岩井豊太郎君    四十八番   猫田 孝君…………………………………………………………………………………………… △職務のため出席した事務局職員の職氏名  事務局長         服部 敬 総務課長         高野朋治 議事調査課長       梅本雅史 議事調査課管理調整監   桂川義彦 同    課長補佐    大野享子 同    課長補佐    蕨野 孝 同    主査      早野ひとみ 同    主査      水谷昭之 同    主任      山辺有紗…………………………………………………………………………………………… △説明のため出席した者の職氏名  知事           古田 肇君 副知事          平木 省君 副知事          河合孝憲君 会計管理者        西垣功朗君 秘書広報統括監兼デジタル政策統括監              尾鼻 智君 総務部長         横山 玄君 清流の国推進部長     丸山 淳君 危機管理部長       渡辺正信君 健康福祉部長       堀 裕行君 健康福祉部子ども・女性局長              安江真美君 商工労働部長       崎浦良典君 農政部長         長尾安博君 教育長          堀 貴雄君 警察本部長        加藤伸宏君…………………………………………………………………………………………… △三月十六日午前十時開議 ○議長(佐藤武彦君) おはようございます。ただいまから本日の会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○議長(佐藤武彦君) 日程第一を議題といたします。 ただいまから、議題とした各案件について、各常任委員会委員長に審査の経過及び結果の報告を求めます。総務委員会委員長 国枝慎太郎君。    〔総務委員会委員長 国枝慎太郎君登壇〕 ◆総務委員会委員長(国枝慎太郎君) おはようございます。 総務委員会に審査を付託されました議案二件の審査の経過及び結果について御報告申し上げます。 まず、議案の概要を申し上げます。 議第十五号の令和三年度岐阜県一般会計補正予算のうち歳入予算補正は、総額三百十一億二千八百四十七万七千円を増額するものであり、その主な内容といたしましては、景気回復を背景に県税を百八十億円増額、また国からの追加交付により、地方交付税を二百五億一千八百九十二万六千円増額する一方で、これら地方交付税及び県税を活用し、臨時財政対策債や県庁舎建設に係る県債などの通常債の発行を抑制することにより、県債を二百六十一億九百七十万円減額するものであります。 歳出予算補正は、当委員会所管としては、事業費の確定や経費の節減により減額する一方、今年度の県税収入見込額を基礎とした市町村への交付額等の補正により諸支出金を百二億九千五百万円増額するほか、超過勤務手当については当初見込みより五億七千四百五十一万三千円増額するなど、総額四百九十九億八百三十二万一千円の増額となっております。 また、繰越明許費補正については、当委員会所管としては、国の補正予算を最大限活用して今回予算計上するデジタル・トランスフォーメーション推進事業費補助金震度情報ネットワークシステム機器更新経費等を繰り越すものであります。 債務負担行為補正については、新県庁舎工事日程の見直しによりネットワーク通信機器類の借上げ、設計及び保守管理委託の期間が延長、変更等されることに伴い、一件を追加、二件を変更するものであります。 次に、議第十六号 令和三年度岐阜県公債管理特別会計補正予算については、元金、利子などについて、借入れ実績に伴い、所要の補正を行うものであります。 採決の結果、議第十五号のうち歳入予算補正歳出予算補正総務委員会関係繰越明許費補正総務委員会関係債務負担行為補正総務委員会関係及び地方債補正並びに議第十六号の各案件については、全会一致をもってそれぞれ原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査の過程において執行部から各議案の説明を受け、質疑を行いました。その主な内容について申し上げます。 デジタル・トランスフォーメーション推進事業費補助金の対象事業の一つである市町村との連携事業について、どのような内容を想定しているか質疑があり、地域における社会課題の解決に向けたものであり、民間事業者が中心となって取り組む事業等が考えられるとの答弁がありました。 以上、総務委員会の審査の経過及び結果について御報告申し上げます。 ○議長(佐藤武彦君) 企画経済委員会委員長 布俣正也君。    〔企画経済委員会委員長 布俣正也君登壇〕 ◆企画経済委員会委員長(布俣正也君) 企画経済委員会に審査を付託されました議案二件の審査の経過及び結果について御報告申し上げます。 まず、議案の概要を申し上げます。 議第十五号の令和三年度岐阜県一般会計補正予算のうち歳出予算補正については、当委員会所管として、総額五十二億一千二百九十三万七千円を減額するものであります。 その主な内容として、ねんりんピック二〇二一の開催中止などに伴い九億三千五百七十万八千円を減額するほか、売上減少事業者等支援金新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金(大規模施設分)などの事業者への交付金の執行見込額の減少に伴い三十四億九千六十万九千円を減額するものなどであります。 繰越明許費補正については、当委員会所管として、岐阜メモリアルセンター長良川競技場などに係る工事に関して、関係機関との調整や資材の調達に不測の日数を要したことにより繰越しを行うスポーツ施設整備事業費に係るものなど十六件であります。 議第十七号の令和三年度岐阜県中小企業振興資金貸付特別会計補正予算については、中小企業高度化資金の貸付額が確定したこと、また新型コロナウイルス感染症の影響を受けた貸付先に対する償還猶予の特例措置によって償還額が減少したことなどにより、四億一千九百十六万六千円を減額するものであります。 採決の結果、議第十五号のうち歳出予算補正企画経済委員会関係及び繰越明許費補正企画経済委員会関係並びに議第十七号の各案件については、全会一致をもってそれぞれ原案のとおり可決すべきものと決定をいたしました。 なお、審査の経過において執行部から各議案の説明を受け、質疑を行いました。その主なものを申し上げます。 デジタル技術などによる観光産業の基盤強化について質問があり、執行部より、県内宿泊事業者を対象に予約管理や混雑状況を示すシステムの導入など、デジタル技術などを活用した生産性向上に向けた取り組みを支援していくとの答弁がありました。 また、企業におけるDX人材のニーズについて質問があり、執行部より、DX人材が不足をし、全国的に人材確保に向けた競争となっているため、県としては即戦力となるDX人材の確保に向け、県内企業への支援を強化していくとの答弁がありました。 以上、企画経済委員会の審査の経過と結果を御報告申し上げます。 ○議長(佐藤武彦君) 厚生環境委員会委員長 高殿 尚君。    〔厚生環境委員会委員長 高殿 尚君登壇〕 ◆厚生環境委員会委員長(高殿尚君) 厚生環境委員会に審査を付託されました議案四件の審査の経過及び結果について御報告申し上げます。 まず、議案の概要を申し上げます。 議第十五号の令和三年度岐阜県一般会計補正予算のうち歳出予算補正については、当委員会所管として総額二十七億二千七百八十六万八千円の減額となっております。 その主な内容といたしましては、国の内示額や事業費の確定等に伴い減額する一方、国補正予算を活用し、保育士資格取得に関わる修学資金貸付を実施する等のため二億九千九十万円を増額するものなどであります。 また、繰越明許費補正については、当委員会所管として、福祉施設の整備に関するものなどが十件であります。 議第十八号の令和三年度岐阜県地方独立行政法人資金貸付特別会計補正予算については、県立多治見病院における医療機器の購入計画変更等により、歳入歳出ともに三億四千百九十二万四千円を減額するものであります。 議第十九号の令和三年度岐阜県国民健康保険特別会計補正予算については、主に保険給付の増により、歳入歳出ともに七十五億五千九百十五万三千円を増額するものであります。 議第二十号の令和三年度岐阜県母子父子寡婦福祉資金貸付特別会計補正予算については、配偶者のない方に対する貸付金が減少したことなどにより、歳入歳出ともに三千四十四万九千円を減額するものであります。 採決の結果、議第十五号のうち歳出予算補正厚生環境委員会関係及び繰越明許費補正厚生環境委員会関係並びに議第十八号から議第二十号までの各案件については、全会一致をもってそれぞれ原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査の過程において執行部から各議案の説明を受け、質疑を行いました。その主なものを申し上げます。 新型コロナウイルスに関する換気対策の一つとして、介護・障がい福祉施設に配付された二酸化炭素濃度測定器、いわゆるCO2センサーの配付状況や運用方法について質問があり、介護施設に関しては約二千三百施設、障がい福祉施設に関しては約千二百施設に対して配付しており、特に利用者が多く集まるような場所に常時設置し、一定濃度以上になった場合は定期的な換気に加えて臨時的な換気をしていただく運用となっているとの答弁がありました。 以上、厚生環境委員会の審査の経過と結果を御報告申し上げます。 ○議長(佐藤武彦君) 農林委員会委員長 若井敦子君。    〔農林委員会委員長 若井敦子君登壇〕 ◆農林委員会委員長(若井敦子君) 農林委員会に審査を付託されました議案二件の審査の経過及び結果について御報告申し上げます。 まず、議案の概要を申し上げます。 議第十五号の令和三年度岐阜県一般会計補正予算のうち歳出予算補正については、当委員会所管として、総額六十五億八百四万六千円の減額となっております。 その主な内容としましては、国の内示額や事業費の確定に伴い減額する一方、国補正予算を活用し、機構集積協力金交付事業の基金を積み立てるために一億一千二百四十八万七千円を増額するほか、林業事業体等によるICTを活用したスマート林業技術等の導入に対して助成するために四百三十六万五千円を増額するものなどであります。 繰越明許費補正については、当委員会所管として、県営ため池等整備事業費など四十二件を計上しており、地元や関係機関との調整や工事の施工における工法変更の検討に不測の日数を要し、年度内完了が見込めなくなったことなどによるものであります。 次に、議第二十一号の令和三年度岐阜県就農支援資金貸付特別会計補正予算については、事業費の確定に伴い減額を行うものであります。 採決の結果、議第十五号のうち歳出予算補正農林委員会関係及び繰越明許費補正農林委員会関係並びに議第二十一号の各案件については、全会一致をもってそれぞれ原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査の過程において執行部から各議案の説明を受け、質疑を行いました。その主なものを申し上げます。 花き振興推進指導費の増額理由について質疑があり、執行部から、花きの担い手育成拠点として新たに設置する清流の国ぎふ花と緑の振興センターに研修用温室二棟を整備するためのものとの答弁がありました。 以上、農林委員会の審査の経過と結果を御報告申し上げます。 ○議長(佐藤武彦君) 土木委員会委員長 広瀬 修君。    〔土木委員会委員長 広瀬 修君登壇〕 ◆土木委員会委員長(広瀬修君) 土木委員会に審査を付託されました議案六件の審査の経過及び結果について御報告申し上げます。 まず、議案の概要を申し上げます。 議第十五号の令和三年度岐阜県一般会計補正予算のうち歳出予算補正については、当委員会の所管として、総額五億八千二百三十万三千円の増額となっております。 その主な内容といたしましては、国が行う道路事業や河川砂防事業に対する県負担金として三十四億七千六百八十四万二千円を増額するもの、昨年末からの断続的な大雪に対する除雪費を二十一億七千万円増額するもののほか、今年度発生した災害の復旧事業の内容確定等に伴い、災害復旧費を三十七億六千八百九十二万一千円減額するもの、国内示に伴い地籍調査費を八千三百五十二万八千円減額するものであります。 また、繰越明許費補正については、当委員会所管として、道路新設改良費など五十六事業を計上し、債務負担行為補正については、変更分として公共用地等の取得及び造成委託の一件であります。 そのほか企業会計に係るものとして、建設改良費の減に伴い減額補正を行う議第二十二号 令和三年度岐阜県流域下水道事業会計補正予算など三件、特別会計に係るものとして、山林取得費等の減に伴い減額を行う議第二十五号 令和三年度岐阜県徳山ダム上流域公有地化特別会計補正予算など二件であります。 採決の結果、議第十五号のうち歳出予算補正土木委員会関係繰越明許費補正土木委員会関係及び債務負担行為補正土木委員会関係並びに議第二十二号から議第二十六号までの各案件については、全会一致をもってそれぞれ原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査の過程において執行部から各議案の説明を受け、質疑を行いました。その主なものを申し上げます。 建築物地震災害対策費の減額理由について質疑があり、新型コロナウイルス感染症の影響により、木造住宅の耐震改修や耐震診断において、建築士等が自宅に入ることに抵抗を感じる傾向があること、近年地震による大きな建築被害がないことにより耐震化への意識が低下し、補助件数が伸びないとの答弁がありました。 また、岐阜県工業用水道事業会計補正予算における資本的収入及び支出の減額内容について質疑があり、民間事業者の投資計画が当初よりも減額したこと等により、建設改良工事が減ったことによるものとの答弁がありました。 以上、土木委員会の審査の経過と結果を御報告申し上げます。 ○議長(佐藤武彦君) 教育警察委員会委員長 田中勝士君。    〔教育警察委員会委員長 田中勝士君登壇〕 ◆教育警察委員会委員長(田中勝士君) 教育警察委員会に審査を付託されました議案一件の審査の経過及び結果について御報告申し上げます。 まず、議案の概要を申し上げます。 議第十五号の令和三年度岐阜県一般会計補正予算のうち歳出予算補正については、当委員会所管として、総額四十九億一千三百二十九万六千円の減額となっております。 その主な内容としましては、まず教育委員会関係では、新型コロナウイルス感染症対策として、各学校で必要な衛生物品等を整備するため、学校保健振興費を二億二千八百五十五万二千円増額する一方、学習指導員等の配置事業における実績見込みの減により、人事管理運営費を一億二千百九十八万五千円減額、小・中・高等学校、特別支援学校の教職員の給与費の整理に伴い二十二億九千二百四十八万五千円減額するものなどであります。 次に、警察本部関係では、自動車燃料費の高騰等により警察装備費を三千十四万九千円増額する一方、職員手当等の減により、給与費を二億四千九百二万二千円減額、各種電話・通信回線料等に要する経費の契約差金により、一般警察活動費を一千四百七十三万五千円減額、常時録画式交差点カメラの整備に要する経費の契約差金等により、交通指導取締費を八千六万五千円減額するものなどであります。 繰越明許費補正については、当委員会所管として、校舎の改修や交番改築について、新型コロナウイルス感染症の影響による資材の入手難等により繰越しなど五件の追加であります。 また、債務負担行為補正については、当委員会所管として、羽島高等学校南舎の建て替え工事に係る追加一件であります。 採決の結果、議第十五号のうち歳出予算補正教育警察委員会関係繰越明許費補正教育警察委員会関係及び債務負担行為補正教育警察委員会関係については、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査の過程において執行部から各議案の説明を受け、質疑を行いました。その主なものを申し上げます。 常時録画式交差点カメラの設置状況について質疑があり、現在県内十三か所に設置をしており、交通事故の発生状況を見ながら新たな場所への設置または既設カメラの更新を行っているとの答弁がありました。 以上、教育警察委員会の審査の経過及び結果について御報告申し上げます。
    ○議長(佐藤武彦君) ただいまから議第十五号から議第二十六号までを一括して採決いたします。 お諮りいたします。各案件を各委員長報告のとおり決することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(佐藤武彦君) 御異議なしと認めます。よって、各案件は各委員長報告のとおり決定いたしました。…………………………………………………………………………………………… ○議長(佐藤武彦君) 日程第二及び日程第三を一括して議題といたします。…………………………………………………………………………………………… ○議長(佐藤武彦君) 日程第四 一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。三十三番 水野正敏君。    〔三十三番 水野正敏君登壇〕(拍手) ◆三十三番(水野正敏君) おはようございます。 議長より発言のお許しをいただきましたので、通告に従い、次世代エネルギービジョンの改定について、二点商工労働部長にお伺いをさせていただきます。 国は、令和二年十月、脱炭素社会の実現に向けて、二〇五〇年二酸化炭素排出量を実質ゼロに取り組むことを表明しました。そうした国の動きに合わせ、同様に取り組むことを表明する都道府県が増え、令和四年二月末現在、四十都道府県が同様の表明をいたしております。 岐阜県においても、古田知事は令和二年第五回岐阜県議会定例会において、「脱炭素社会ぎふ」の実現を目指すことを表明され、「脱炭素社会ぎふ」の実現をオール岐阜で目指すため、令和三年三月に岐阜県地球温暖化防止基本条例を岐阜県地球温暖化防止及び気候変動適応基本条例として改正するとともに、岐阜県地球温暖化防止気候変動適応計画を策定しています。 今議会、山内議員から温室効果ガス排出抑制についての御質問がされているように、一言で脱炭素社会の実現といっても、それを達成するためのアプローチは様々あろうかと思います。 環境省が示す地域脱炭素ロードマップでは、地域における暮らしや社会の分野を中心に、生活者目線での脱炭素社会実現に向けた行程と具体策を示しています。具体的には、ゼロカーボンアクションとして衣食住、移動、買物など日常生活における脱炭素行動と暮らしにおけるメリットを八つの区分三十項目で整理をされています。我が国のCO2排出量は衣食住を中心とする生活様式に起因する部分が約六割を占めるなど、脱炭素社会の実現には一人一人の生活様式の転換が重要だとしています。 また、視点を変えて考えてみますと、脱炭素社会の実現を目指し、さきに述べた岐阜県地球温暖化防止気候変動適応計画の目標を達成するためには、エネルギー起源の二酸化炭素の削減が重要であります。 昨年十月に、資源エネルギー庁において、第六次エネルギー基本計画が策定されていますが、今年度本県においてもエネルギービジョンの改定作業が進められていると聞いております。先頃その素案が示されましたが、それによりますと、基本理念として岐阜県の特性を生かした脱炭素社会ぎふの実現とあります。 私はこの理念のとおり本県の特性を生かした岐阜県らしい脱炭素社会を目指していくことがとても大切なことだと考えます。 再生可能エネルギーの創出に向けては、御承知のとおり、活用が進む太陽光発電のみならず風力発電、水力発電、バイオマス発電、地熱発電など様々な形がございます。 このため、例えば温暖化への対応を成長につなげていくため、国が昨年六月に策定した二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略の中で、洋上風力や地熱などを成長産業として育成していく方針を掲げており、こうした資源を有する地域では積極的な活用が望まれます。また、活用が進む太陽光発電についても日照条件に左右されるなどメリット・デメリットがあることも事実であります。 脱炭素社会を実現する上では、こうしたそれぞれの地域の特性や資源を分析した上で、効率的・効果的に再生可能エネルギーを創出していくことが求められると考えます。 また、このエネルギービジョンでは、基本施策として脱炭素社会促進プロジェクトエネルギー地産地消プロジェクト、産業の脱炭素化プロジェクトの三つの重点プロジェクトを掲げています。その中でも今回はエネルギー地産地消プロジェクトに注目をしてみました。 地域経済に焦点を当てた場合、エネルギーの地産地消を行うことは地域を中心としたサプライチェーンが形成されるため、地元での資金の循環や雇用の創出といった効果が期待でき、地域の活性化につながります。さらには、昨今の台風や地震などの自然災害により停電が長期化するケースが増えており、災害時の防災電源としてのニーズも高まっています。 こうした中、既に八百津町では、平成二十九年に八百津町再生可能エネルギービジョンを策定し、町、岐阜大学、民間企業の産学官により中山間地におけるエネルギーの地産地消に向けた取り組みを進めておられます。 少し紹介させていただきますと、地域の再生可能エネルギーでつくった電力から二酸化炭素フリーの水素を製造して、町内の住宅や公共施設、農業施設に効率よく電力と熱を供給するとともに、林業関連の事業者が集まる久田見地区に水素製造装置を導入し、太陽光発電と木質バイオマス発電の電力から水素を製造し、製造した水素は純水素型の燃料電池を使って地区内に電力と熱を供給する一方で、町の中心部に導入する燃料電池にも供給することで地域の再生可能エネルギーでつくった電力を地産地消しながら余剰分を水素に転換、貯蔵して有効に活用していくといったものであります。この仕組みにより、八百津町では、地域のエネルギーを一〇〇%自給自足できる水素タウンの構築を目指しているとのことであります。 また、私の地元恵那市でも、令和三年四月、市、企業、電力会社の三者が出資し、県内初となる自治体出資による地域新電力会社「恵那電力」を設立いたしました。 私が所属する厚生環境委員会では、昨年十一月、こうした恵那電力の取り組みなどを詳しく伺うため、恵那電力の構成員の一つである日本ガイシ株式会社小牧事業所を視察させていただいたところです。 恵那電力は、市内の公共施設の屋根や遊休地に固定価格買取り制度(FIT制度)に頼らない太陽光発電設備及び電力貯蔵用のNAS電池を設置、保有しており、太陽光発電設備などにより発電した電気を公共施設及び出資企業の市内の事業所に供給することで、恵那市のエネルギーの地産地消による地域創生と脱炭素化に貢献するものです。 あわせて、保有する太陽光発電設備及び電力貯蔵用NAS電池は、自然災害などの有事に防災電力として活用する仕組みの構築を目指し、近年激甚化する自然災害への対応力強化を図っており、この官民連携の取り組みを恵那モデルとして確立しようとしています。 視察の際には、課題等に関しても伺いましたが、専門的知見を要することや初期投資の費用、太陽光発電設備の設置場所、地元の住民の方々にこの事業に対する御理解をいただくことに苦労されたと伺いました。 このようにエネルギーの地産地消を確立していくためには、クリアしなければならない課題が幾つかあろうかとは思いますが、八百津町や恵那市の事例からも分かるように、「脱炭素社会ぎふ」の実現を目指す上で非常に重要なアプローチの一つと言えます。 今後、エネルギーの地産地消、地域で必要な電力を地域でつくるという点では、地消地産と言ったほうが適当かもしれませんが、こうした形を広く展開していくために、先ほどの本県の特性などを生かしつつ、今御紹介した八百津町や恵那市のような地域ごとの取組事例からそのノウハウを吸収し、全県的に拡大していく取り組みを積極的に推進していただくことが求められると思います。 そこで、商工労働部長に二点お伺いをいたします。 一つ目として、エネルギービジョンの理念を掲げた岐阜県の特性とは具体的にどのような特性があると捉えておられるのでしょうか。 二つ目として、エネルギーの地産地消について、本県の特性なども踏まえながら、今後どのように進めていくお考えなのでしょうか。 さきに開催された提出議案説明会でも御説明いただきましたが、県では「脱炭素社会ぎふ」の実現に向け、来年度当初予算において脱炭素を加速させる様々な取り組みが事業化されます。また、県の組織体制においても、産業部門の脱炭素化を推進するため、現在の商工政策課が商工・エネルギー政策課に改称され、エネルギー対策監が新設されるなど、脱炭素への取り組みを強化していく体制が整っていきます。 こうした予算や体制の下、「脱炭素社会ぎふ」の実現に向けたたゆみない取り組みによる着実な成果を期待して私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(佐藤武彦君) 商工労働部長 崎浦良典君。    〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕 ◎商工労働部長(崎浦良典君) 二点質問いただきました。 初めに、新たなエネルギービジョンの理念に掲げる本県の特性についてお答えします。 本県の特性としては、第一に、全国一位の水力エネルギー量を有する豊かな水資源、全国二位の森林率を誇る森林資源、飛騨地域を中心とした活火山による地熱といったポテンシャルの高い自然資源を有していること。第二に、一人当たりの自動車保有台数が昨年三月末時点で全国九位と多いことや、産業部門におけるCO2排出量の多くを占める製造業の割合が高いといった社会・経済的な特性があると捉えております。 次期エネルギービジョンでは、こうした特性を生かした「脱炭素社会ぎふ」の実現に向け、まず自然資源を生かした再生可能エネルギーの創出拡大、エネルギーの地産地消の促進に取り組んでまいります。 また、CO2の排出量削減に向け、ガソリン車から電気自動車、燃料電池自動車など次世代自動車への切替え、企業の脱炭素経営や自動車関連産業の電動化対応を促し、支援してまいりたいと考えております。 次に、エネルギーの地産地消の推進についてお答えします。 エネルギーの地産地消は、再生可能エネルギーの創出拡大だけでなく、地域振興や防災力向上の観点からも重要であるため、次期エネルギービジョンの基本施策の三本柱の一つに位置づけ、取り組みを強化してまいります。 具体的には、御紹介の恵那市や八百津町の事例などを県内市町村にも周知し取り組みを促すとともに、各地域において、太陽光のほか小水力、木質バイオマス発電等の資源の地域内での活用を検討するワークショップの形成を促進し、県としても専門家を派遣するなど伴走型で支援してまいります。 また、地熱の活用では、温泉との共生、自然環境との調和など、地域内の十分な議論、丁寧な調整が必要なため、住民向けの先進地視察やセミナーなど地元市町村と連携して取り組んでまいります。 さらに、地産地消に向け議論が深まった地域では、市町村が行う地域資源の活用可能性調査や事業計画策定に向けた補助制度を創設するなど、事業化に向けた支援を充実してまいります。 ○議長(佐藤武彦君) 一番 平野恭子君。    〔一番 平野恭子君登壇〕(拍手) ◆一番(平野恭子君) 議長より発言のお許しをいただきましたので、今回は三項目四点について質問させていただきます。 本年四月から厚生労働省の専門部会の検討を経て、八年半ぶりに子宮頸がんワクチンの積極的勧奨が再開されます。 そこで、本日はまず初めに、本県における子宮頸がん対策について質問いたします。 日本において、子宮頸がんは毎年約一・一万人以上の方が罹患し、約二千八百人の方が亡くなる重大な疾患の一つであります。子宮頸がんは三十代から急激に死亡率が上っており、本来であれば長い人生を見込めたはずの年代の女性、まさに妊娠・出産・子育ての真っただ中にある世代の女性が子宮頸がんによって命を落としているのです。また、死亡には至らずとも、その治療のための手術により、将来流産や早産のリスクを抱えたり、時には子宮の全摘出により妊娠の機会を奪われるという女性として耐え難い事実があります。 日本人の死亡原因の第一位はがんですが、様々ながんの中でワクチンで予防することができるものがあります。それがこの子宮頸がんです。子宮頸がんの原因となるウイルスの感染を予防するHPVワクチンを接種することにより、子宮頸がんの六割から七割を予防できると考えられており、WHOもHPVワクチン接種による子宮頸がんの予防を推奨しています。 日本では、二〇一三年四月よりHPVワクチンは定期接種の対象となり、小学校六年から高校一年相当の女子が公費負担により無料で受けられることになっていましたが、接種後の痛みや運動障害など報告が相次ぎ、僅か二か月後の同年六月に厚生労働省が積極的な接種勧奨をしないように自治体に求めました。 その結果、接種率はそれまでの七〇%から一%未満となってしまいました。これについては、医学的に様々な立場から議論がされていますが、ワクチン接種の積極的な接種勧奨が中止されている日本の状況を鑑み、二〇一五年にはWHOワクチン安全性諮問委員会が、日本の対応について、若い女性を子宮頸がんの危機にさらしていると批判する声明を出していました。 病気のリスク、ワクチンの効果、副反応などのデメリットについては、今回新型コロナウイルス感染症の流行を受けて多くの方が改めて考えるきっかけとなりました。例えば新型コロナウイルス感染症のワクチンについては、これまでに実に八割近い国民の皆さんが接種を行っています。人類史上初めて大々的に使用されたメッセンジャーRNAワクチンであり、その副作用についても様々な議論が今でもなされています。実際に様々な副反応が報告されているのも事実です。 どんなワクチンにもメリットとデメリットがあり、それらを把握し、正しい情報に基づいて判断をしていくことが重要です。 話をHPVワクチンに戻しますが、昨年十一月、厚生労働省の専門部会はHPVワクチンの安全性について、特段の懸念が認められないことが確認され、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると認め、接種後の副作用を訴える人への支援体制も一定程度整ったと判断し、HPVワクチンの積極的な推奨の再開を了承しました。 四月からの接種勧奨再開に当たり、厚生労働省は、都道府県に対して予防接種後に生じた症状の診察に対応する協力医療機関との連携、地域の医療機関等との連携、相談窓口の機能の確認、市町村との連携の四つの役割を求めており、本県としても適切に定期接種が実施されるよう取り組む必要があります。 なお、ワクチンを接種しても全てのHPVを防げるわけでなく、子宮頸がんから身を守るためには、並行してがん検診も欠かせません。本県の子宮頸がん検診受診率は全国に比較して低く、二〇一九年国民生活基礎調査によると、全国平均四三・七%に対し、本県の受診率は四二・五%、全国三十三位と低い状態であります。 本県では、二〇一三年六月の積極勧奨を見合せ後、がん検診の有効性や普及啓発やがん検診を受けやすい体制整備など様々な取り組みをしてくださってはいますが、依然として受診率は低く、市町村によっては受診率の高低もある状況です。今後、子宮頸がん検診の受診率の向上に向けてしっかりと取り組んでいかなければなりません。 これらを踏まえ、国からのHPVワクチン接種の積極勧奨の再開を受けて、子宮頸がん予防に向けた県としての今後の取り組みについて、健康福祉部長に二点お尋ねします。 まず一点目です。HPVワクチンの接種を進めるに当たっては、対象者やその保護者、関係者に対し、ワクチン接種について検討、判断するために必要な情報提供が適切に行われるとともに、被接種者が接種後に体調の変化を感じた際に、地域において適切に相談や診療などの対応が行われる体制が必要となります。 ワクチン接種に当たり、県に求められている協力医療機関や医師会等関係者との連携の在り方、相談窓口の機能の在り方、市町村との連携の在り方について、どのようにお考えかお聞かせください。 二点目です。子宮頸がん対策に当たっては接種推奨が再開されるワクチン接種とがん検診の両輪で取り組んでいく必要があります。子宮頸がん検診の受診率について、県としてどのように分析しているのか。また、受診率の向上に向けて、どのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。 次に、学校生活における制服について質問いたします。 明治時代に導入が始まったと言われる制服は、毎日の服装に悩まなくていい、学生らしく見える、各家庭の経済格差が表れにくいといったメリットがあることから、日本国内において全国の中学校、高等学校等における文化の一つとして定着しています。 一方、急速な国際化・情報化の進展など社会の変化に伴い、価値観や性の捉え方が多様化する中、制服についてもその在り方について様々な問題提起がされています。 文部科学省でも自認する性別と異なる制服の着用によってもたらされる苦悩や苦痛等により不登校になる子供たちがいるという状況を受け、二〇一五年、四月全国の学校に対し、自認する性別の制服、衣服や体操着の着用を認める事例を掲載した「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細やかな対応の実施等について」通知しています。 そのような中で、保護者の経済的負担の軽減や性的マイノリティーへの適切な配慮、生徒の心の問題といった観点などから、今後の制服の在り方についても十分に検討していかなければなりません。 母校である岐阜北高校は、私が高校生のときから制服についての議論がされておりました。また、昨年四月より学校長の諮問を受けて、制服等に関する検討委員会が立ち上がり、教員、生徒が一緒になって制服についての在り方を議論してきました。一年間の議論を経て、検討委員会として標準服と私服の選択性を二月に答申し、学校長へ提出し、後日、来年度からの正式な方針が最終決定されます。 また、加納高校では、先日制服に関する校則が改定されました。これは学校生活における服装を制服に限らない選択制とし、入学式などの学校が定める式典などでは制服着用を求めるが、通常は私服の着用を認めるというものです。このような規定を校則に明記したのは、県内初ということです。 加納高校では、これまでも新型コロナウイルス感染症拡大防止の取り組みの一つとして、洗濯しにくい制服に代えて毎日洗濯できる私服の着用を認め、定着してきた経緯があります。 私自身もこのコロナ禍の中で、子供にはジャージも含め、毎日洗濯ができる服装がよいと実感しています。その反面、私が学生のときは制服を着ることはむしろ好きでしたし、私服のように毎日服を選ばなくてもよかったので楽だったのも事実です。 菅公学生服株式会社が全国の高校に通う生徒に対して、二〇二一年に行った学校制服の必要性アンケートでも、学校制服が必要だと回答した人は、「あったほうがいい」四〇・四%、「どちらかというとあったほうがいい」三八・九%、合わせて約八割が学校制服は必要であると答えています。 しかし、子供たちの服装は性差の問題、心の問題、保護者の経済力の問題などから来るいじめや差別などの問題など、様々な面から配慮しなければなりません。これまでのように画一的に制服を求めるのでなく、学校や子供たちに選択の自由があってもよいとも思います。 もちろん教育の場である学校においては、全てが自由でよいとも考えていません。校則によって決められたことは守るという考え方を学ぶことも大切ですし、冠婚葬祭をはじめとして、社会に出ても様々な場面で適した服装があることも学んでいかなければなりません。これまでも制服について様々な要望、意見がある中で、県の教育委員会は柔軟な対応を取っていただいていると認識しております。 そこで、教育長にお尋ねします。 校則の見直しが進む中、選択制や標準服化を進める動きが見られますが、今後の制服の在り方について、県教育委員会としてどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。 最後に、県内民間事業者における男性の育児休業の取得促進について質問いたします。 現在、岐阜県においてもSDGsの取り組みが進められているところでありますが、その十七の目標の一つに、ジェンダー平等の実現というものがあります。その中では雇用や待遇の見直し、女性の管理職への起用、ジェンダー格差を生み出す要因の排除などが求められています。 日本国内においては、昨年に育児・介護休業法が改正されました。この改正に伴い、令和四年四月より育児休業を取得しやすい雇用環境の整備、妊娠・出産を申し出た労働者に対する周知・意向確認措置の義務化、有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和、令和四年十月より、出生時育児休業の創設、育児休業の分割取得、そして令和五年四月より、育児休業取得状況の公表の義務化などが施行されていきます。これらの改正は、男女共仕事と育児を両立できることを目指すため、女性だけでなく男性もより育休を取得しやすい環境を進めるための環境整備を事業者にも強く求めています。 本県においてもまだまだ家事・子育ての負担は女性が圧倒的に多い中で、女性が安心して子育てをしながら働くことができるための環境づくりには男性の協力が不可欠です。 現状、岐阜県全体の男性の育児休業取得率は、平成三十年時点では六・二%であったものが、令和三年調査では一七・一%に上昇しています。 第四次岐阜県男女共同参画計画においては、男性の家事・育児・介護等への参画の推進が四つの柱の一つとされ取り組みが進められていますが、この計画の中で、男性の育児休業取得率における令和五年度の目標数値は一三%と設定されており、既にこの目標値が達成されています。このことはまさにこれまでの県の取り組みの成果の表れであると思います。 ある民間会社によると、男性の育休の取得期間について、「一~三日」は「積極的に取得すべきである」「どちらかというと取得には賛成である」と答えた管理職は八六・五%にも上ります。また、「四~六か月以内」での取得は「賛成」が五〇・五%だった一方、「あまり取得には賛成できない」「取得すべきではない」は四九・五%を占めました。「七か月以上」になると、「賛成」が四九・二%、「反対」が五〇・八%となるなど反対が半数を超えています。この結果から、数日程度の育休取得には賛成だけれども、長期の育休取得に対する理解度は決して高いものではないことが分かります。 また、この調査では「男性に育休を取得してほしい」と答えた女性は六八・九%、男性は八〇%だったにもかかわらず、実際に育休を取得したことがある男性は一五・四%にとどまっています。 これは、社会的には男性も育児休暇を取得して積極的に育児に参加すべきという認識は高いものの、実際取得できる環境が整備されていないなど、実態との大きな隔たりも明らかになっています。さらに、男性の育休で心配なことを問う質問では、「収入が減るかもしれない」が女性で四八・八%、男性で四〇・九%と最も多く、次いで「勤務先に迷惑をかけるかもしれない」、女性三五・六%、男性三八%が多いという結果でした。 現状、育児休業給付金などの制度はありますが、事業者が育休前と同水準の給料を支払うことは極めてまれであり、育休を取得すれば収入の減少は避けられないものとなります。また、勤務先に迷惑をかけるかもしれないと考える人が男女共三割以上あり、ワーク・ライフ・バランスの考え方や、事業者側での育休が取りやすい環境整備が十分に進んでいないことも分かります。 事業者側の立場からすると、限られた人数で事業をされている中小企業の場合では、長期育児休暇を取らせてあげたいが、人員に余裕がなく仕事が回っていかないとの声もあり、育児休暇の取得は難しいのも事実です。 一方、岐阜県職員の男性の育児休業取得率は、昨年度知事部局において六四・九%と、全都道府県で一位となっております。これは子供が生まれる男性職員に育児参加プランの作成をお願いして、育児参加の意識を高めているほか、庁内LANに子育て相談窓口を開設して問合せに対応していることが成果に結びついており、大変喜ばしいことだと思います。 今後、県全体の男性の育児休業取得率の引上げに向けては、県が引き続き率先して取り組んでいかなければなりません。 そこで、子ども・女性局長に質問いたします。 岐阜県においては、県職員の男性の育児休業取得の取り組みは進んでいますが、県内の民間事業者における男性の育児休業取得促進に向けた取り組みをどう進めていくのか、お聞かせください。 以上で質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(佐藤武彦君) 健康福祉部長 堀 裕行君。    〔健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部長(堀裕行君) 二点御質問をいただきました。 まず、HPVワクチンの接種勧奨に関する県の取り組みについてお答えします。 子宮頸がんワクチンの接種は、平成二十五年度の通知により積極的な勧奨が控えられましたが、昨年十一月に国が再度積極的勧奨に方針転換する以前から、県は接種体制の整備に努めてきました。 具体的には、平成二十六年十月に、岐阜大学医学部附属病院を接種後に生じた症状を専門的に診る協力医療機関に選定しており、今回の方針転換を受け、改めて医師会に周知したところです。また、平成二十七年十一月には、接種後に生じた症状に関わる医療等に関する相談窓口を健康福祉部に、学校生活に関する相談窓口を県教育委員会に設置するなど、積極的勧奨にも対応できる環境を整えてまいりました。さらに、国はワクチン接種する際の判断材料や接種に必要な情報をまとめた新たなリーフレットを作成しており、市町村を通じて接種対象者と保護者に情報提供してきたところです。 接種後に生じた症状に係る相談、医療体制の維持・確保は県の役割であり、今後も相談窓口の周知や予防接種従事者に対する研修会等を通じて、体制の維持・確保に努めてまいります。 次に、子宮頸がん検診の受診状況と今後の取り組みについてお答えします。 国民生活基礎調査における本県の子宮頸がん検診受診率は、近年増加傾向にあるものの全国平均を下回っており、県の第三次がん対策推進計画の目標値である五〇%には達しておりません。 また、子宮頸がんの初期である上皮内がんは、二十歳代後半から急増していますが、ほとんど自覚症状がないことから、早期発見には若い世代の受診率向上が必要であると認識しております。 このため、県では二十歳からの検診年齢に到達する若い世代への啓発として、検診の意義や方法などを記した「二十歳から始める子宮頸がん検診」と題したリーフレットを作成し、県内の大学や専門学校を通じて毎年約五千部を女子学生に配布してまいりました。 今後は、さらに検診への関心を高め、受診行動につながるようリーフレットに子宮頸がんは他のがんとは異なり、二十代、三十代の患者が全体の約四割を占めることを記載するなど、内容の充実を図るとともに、二次元コードで市町村のがん検診サイトへつなげ、検診の予約方法等の情報を簡単に得られる仕組みを整えてまいります。 ○議長(佐藤武彦君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 今後の制服の在り方についてお答えします。 県立高校では校則の見直しが進む中、コロナ禍における制服着用の柔軟な取扱いも契機となり、幾つかの学校で制服の在り方について議論が行われております。 例えば議員御紹介の岐阜北高校や加納高校では、私服登校を試行した上で、生徒自身が生徒や保護者、教員にアンケートを実施し、生徒が教員と同じ空間で制服について考え、さらに学校運営協議会を通じて外部の意見を取り入れ議論した結果、岐阜北高校では、制服を基本としつつ、季節や状況に応じて選択制を導入、また加納高校では、式典等の指定日を除き制服以外の服装も認めることとされました。 県教育委員会としましては、校則の見直しに向けたこうした取り組みは望ましいものと評価しており、とりわけ制服については各学校での伝統や、学校生活を送る上での機能性や合理性、家庭における経済的負担などを考慮しながら、誰もが過ごしやすい学校づくりに向けて、生徒が主体となって考え、保護者や学校関係者の参画を得ながら議論が進むよう、引き続き各学校を指導してまいります。 ○議長(佐藤武彦君) 子ども・女性局長 安江真美君。    〔健康福祉部子ども・女性局長 安江真美君登壇〕 ◎健康福祉部子ども・女性局長(安江真美君) 県内民間事業者における男性の育児休業の取得促進についてお答えします。 県では、男性の育児休業取得の促進を図るため、男性に向けてはイクメン・家事メン養成講座、企業に向けてはイクボス学習会や男性の育児休業取得促進セミナー開催のほか、ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業の認定において、男性の育児休業取得を評価項目とするといった取り組みを進めてまいりました。 このような取り組みにより、令和三年度の県の育児休業等実態調査では前年度の約二倍となる一七・一%に増加しました。一方で、九割を超える女性の育児休業取得率とは依然として大きな差があり、男性の育児休業取得促進に向けた支援が必要と考えております。 来年度は、今までの取り組みを継続するとともに、今年四月に施行される育児・介護休業法の改正を踏まえ、企業を対象に雇用環境整備や育児休業取得の個別の周知・意向確認の義務化などに関する研修会、社会保険労務士が具体的な助言を行う相談会を新たに開催するなど、男性の育児休業の取得をさらに促進してまいります。 ○議長(佐藤武彦君) 一番 平野恭子君。    〔一番 平野恭子君登壇〕 ◆一番(平野恭子君) 御答弁ありがとうございます。 その中で、健康福祉部長に再度二点お尋ねいたします。 八年半ぶりに子宮頸がんワクチンの積極的推奨の再開は、患者さんと向き合う現場の医師たちの願いでもありました。これからの県としての役割としてもとても重要であります。HPVワクチンの接種における有症状者の対応においてしっかり取り組んでいただけるとの答弁で、大変ありがたいことです。 その中で、副反応が起きたときの取り組みは、フローチャートの作成も含め具体的な体制づくりが早急に必須であると考えます。 一点目として、現状フローチャートの作成などの体制の準備はどのようになっているでしょうか。 また、HPVワクチンの正しい情報提供を行うシステムづくりも従来からある連携の枠組みを再活性化するとともに、県として明確に行ってほしいとの御意見もあります。 二点目として、HPVワクチンの正しい情報提供を行うシステムづくりについても、県として具体的な姿勢をお聞かせください。 以上、再質問させていただきます。どうぞよろしくお願いします。 ○議長(佐藤武彦君) 健康福祉部長 堀 裕行君。    〔健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部長(堀裕行君) 二点御質問をいただきました。 まず一点目でありますけれども、接種後に症状が出た場合についての受診体制についてということでございます。フローチャートづくりも含めて検討をということで御質問をいただきました。 先ほども御説明させていただきましたとおり、接種後に生じた症状を専門的に診る医療機関としては、岐阜大学医学部附属病院を指定させていただいておりまして、こうした取り組みについて、改めて医師会、実際に接種をいただく医療機関にも周知をさせていただいたところです。 フローチャートづくりもということでございましたので、検討をさせていただきたいというふうに思います。 二点目、HPVワクチンの正しい情報提供についてということで御質問をいただきました。 このHPVワクチンの接種の実施については、実施主体は市町村というふうになっておりまして、このワクチンに対する正しい情報提供というものについても実施主体である市町村が住民の方にやっていただくということが基本となってまいります。 こうした取り組みがきちんと実施主体によって行われているかということについても、県としてしっかりと確認をしていきたいというふうに考えております。 ○議長(佐藤武彦君) 五番 森 益基君。    〔五番 森 益基君登壇〕(拍手) ◆五番(森益基君) 五番 森 益基です。 議長より発言のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問を行います。 今回は、昨年九月定例会に続き、一点目はスマート農業の全県展開に関連し、大型・高性能農業機械の導入に際しての技能指導や安全対策について、二点目は、生前、早川捷也先生が心血を注がれ取り組まれました畜産振興の中で特に飛騨牛について、先生の熱き思いと強い願いを引き継いで質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。 第一点目の質問です。スマート農業の全県展開に向けた取り組みについて。 前回行った質問の中で、中山間地域における深刻な担い手不足やオペレーター育成などの項目をお尋ねいたしました。その後、地元の皆さんから御意見や御要望をたくさんいただくようになりました。 中でも、農作業中の事故防止対策、省力化を図るための大型・高性能農業機械への転換、さらに最近では農業のDX化や有機農業の推進など、まさに中山間地域での喫緊の課題と受け止め、お話を伺っております。 農作業中の事故に関しては、先月、農水省が取りまとめた結果を公表しています。これによると、二〇二〇年に発生した農作業事故で亡くなった人は全国で二百七十人、これは一九七一年の調査開始以降で最少であったものの、農業従事者十万人当たりでは十・八人と過去最多を更新しています。この数値は、危険性が高いと言われる建設業の死亡者数五・二人を超越しており、依然として全産業平均の一・二人をも大きく上回っている状況であります。なお、二〇二〇年の県内の農作業事故死者数は六人とのことです。 死亡事故の主な原因として、乗用型トラクターの転落、転倒によるものが八十一人、以下熱中症、歩行型トラクター、農用運搬車の事故と続き、年齢別では六十五歳以上の方が全体の八五%を占めています。一方で、三十九歳以下の若年層も十一人と近年では高い水準でありました。 この統計結果に関して、農水省では建設業の事故死者数が減ったのは、安全性が高い機械の導入進展などが要因と考えられる。農業においては、事故に遭いやすい高齢者ほど逆に農機の更新が進んでいないからではないか、そう見ているようであります。 事故防止に関して地元の営農組合の方にお話を伺ったところ、県が毎年発行している「農作業安全の手引き」をお持ちになり、これらの啓発、注意喚起に従って、事故防止に万全を期しているとのお答えでありました。この手引書の中には、一定の条件を満たした作業機を装着・牽引した状態のトラクターの公道走行が可能となった説明チラシもとじ込まれていました。これは、令和元年十二月から牽引式農業作業機が構造要件や保安基準などの一定の条件を満たす場合、道路運送車両法上の小型・大型特殊自動車として新たに位置づけられ、公道走行が可能となったことを周知するものでした。 公道を走行する場合には、牽引する農耕トラクターが長さ四・七メートル以下、幅一・七メートル以下、高さ二・〇メートル以下、最高速度、時速十五キロ以下の要件を全て満たしている場合には小型特殊免許が、要件を一つでも超えると大型特殊免許が必要となります。そして、大型特殊免許が必要な農耕トラクターで車両総重量七百五十キログラムを超える牽引式農業機を牽引する場合には、牽引免許が必要となります。 このことについては、早々に必要な免許の取得に向けて行動を始めます。そう申し出た若い作業員がいるとのお話も伺いました。 営農組合において、作業時間を短縮するなど作業効率を上げ、経営の安定化を図っていく上で、農機の大型化や多彩な機能を備え持つ高性能機械への転換は必須でありますが、担い手不足、農業従事者の高齢化が深刻な中山間地域ではこういった機械への転換がすぐさま行える状況ではなく、これらの利用知識・技能を有したオペレーター人材の育成こそが欠かせません。 しかしながら、中山間地域では農作業安全などの必要な情報を得る機会が少なく、安全対策や農業機械の技能習得に苦労しているのが実情でもあります。 このように、前述したような必要な免許の取得についての周知や受験機会の拡充、併せて高性能機械の操縦・操作・修理点検などに関わる研修、さらに農業従事者及び関係者の安全意識・知識・技能向上を図るための講習会等の開催なども極めて重要な取り組みと考えます。 そこで、農政部長にお伺いをいたします。 大型高性能農業機械への転換が進む中、機械メーカー、農協などと連携した技能指導や安全対策について、今後どのように取り組むのか、お考えをお伺いいたします。 次に、飛騨牛の生産基盤協会の取り組みについて、二点質問をいたします。 飛騨牛につきましては、御承知のとおり、岐阜県を代表するブランドになっています。 その飛騨牛については、本年十月六日から十日にかけて鹿児島県内で開催される第十二回全国和牛能力共進会鹿児島大会に出場いたします。 議場に配付をさせていただきました資料一を御覧ください。 (資料を示す)これには第十二回全国和牛能力共進会の会場案内と、裏面には出品に際しての主な条件が記されています。本県、岐阜県においては、資料に記載の第一区から第八区及び特別区の全区に出品することになっています。 あわせて、資料二を御覧ください。 (資料を示す)肉用牛である出品候補の交配種雄牛となっています。表面には花清光、裏面には広茂清を紹介した資料でございます。 県下の各肥育農家では、現在、本大会に向けて最高の成績を上げるべく昼夜を分かたず惜しみない取り組みが続いています。過日、私は地元の肥育農家を訪ねてみました。地域の同志、繁殖農家の方や酪農家の方々も協力・応援されながら、鹿児島大会への出品候補飛騨牛の肥育を懸命に頑張っていらっしゃいました。 全国和牛能力共進会への出品条件は、二十四か月未満の肥育期間と定められており、早期肥育の難しさ、高騰が続く配合飼料の調達、口蹄疫をはじめとする伝染病防止など、大変な御苦労があることを知り得ました。 さらに、本大会へは五月と大会直前の選考会で選ばれなければならず、県及び大会関係機関の指導を受けて気が抜けない緊張の日が続いているとのお話を伺いました。 本県では、平成三十年二月に策定した和牛日本一奪還戦略に沿ってこれまで着実に準備を進めてこられています。 生産農家、畜産研究所、農協、関係皆様の大変な努力が続けられ、五月と大会直前の最終選抜、そして大会本番まで緊張は続きます。関係皆様と共にオール岐阜体制で最優秀枝肉賞、和牛日本一を成し遂げていただきたいと切に願うものであります。 全国共進会の出場出品については、昨年の九月議会で布俣先生も同趣旨の質問をされていますが、畜産関係者のみならず、この大会の意義や飛騨牛の和牛日本一奪還にかける意気込みをオール岐阜体制で支援していくために、より強力なPRと情報発信を御検討いただけるよう、私からも重ねてお願いする次第であります。 改めて、岐阜県の代表ブランドである飛騨牛の歴史について触れさせていただきます。 昭和三十年代前半までの農業は、各農家で農耕用の牛、いわゆる役用牛を飼育して、田起こしや米の運搬などを担わせていました。中津川市、旧恵那郡の町村でもほとんどの農家がこうした環境でありました。私ごとでありますが、実は我が家でも農耕用に雌牛を飼育し、時には繁殖して生まれた子牛を市場に出していました。 三十年代の後半からは、急速に農業機械や機材が開発され、普及が進み、全国的な農作業の機械化により、役用牛から肉用牛への転換が始まりました。 岐阜県の飛騨牛改良は、役用牛から肉用への転換時代を経て、昭和四十二年に岡山県より体積系の種雄牛、昭和四十七年には資質系の雄牛を導入、昭和四十九年、飛騨地域の和牛交配指針を策定、昭和五十年代初頭から集団育種事業による岐阜県固有の和牛造成、岐阜牛系統固定推進事業が開始され、それまでの郡上牛、飛騨牛、加子母牛、孫六牛などを岐阜牛へ統一した種雄牛の造成が始まりました。 そして、昭和五十六年、但馬より安福を導入、岐阜牛を飛騨牛と名称変更し、飛騨牛系統固定推進事業を活発化させました。昭和六十三年には、安福の能力の全国的な評価を追い風に飛騨牛銘柄化を推し進めるため、飛騨牛銘柄推進協議会を設立、平成十年代には、枝肉情報を基にした育種による種雄牛を造成。現在は、牛肉のおいしさを追求し、枝肉情報と先端技術を用いた科学的な改良事業が進められています。 さて、皆さんは今ほど申し上げた安福という名前の牛を御存じかと存じます。 過日、私が勉強をさせていただいた岐阜県畜産研究所の記念館に掲げられた安福の史実を紹介させていただきますと、安福は昭和五十五年、兵庫県美方郡村岡町に生まれました。昭和五十六年から岐阜県肉用牛試験場で飼育され、約四万頭の子孫を残しました。これらの子牛は全国最高水準で取引されるなど、その実績はまさに特筆すべきものであります。特に県内和牛の肉質改善に顕著な功績を上げ、その子供は昭和六十二年開催の第五回、平成四年開催の第六回、全国和牛能力共進会においても優秀賞に入賞するなど、飛騨牛の銘柄確立の礎を築き、本県肉用牛の生産振興と飛騨牛の改良、増殖に多大の貢献をして、畜産関係者に大きな夢を与えてくれましたと記されていました。 和牛は、血統六割、飼育の餌など技術四割と言われます。 最優秀枝肉賞を獲得した出品牛の第八回全国和牛能力共進会岐阜大会の交配種雄牛は、先ほどの安福の子である飛騨白清、続き連覇をした第九回全共鳥取大会の指定交配種雄牛は安福の孫である飛騨白真弓と、その血統は引き継がれており、今回の第十二回全共鹿児島大会において代表となる花清光と広茂清は、安福のひ孫に当たり、まさに代々その血統は引き継がれています。 お手元の議場配付、資料三を御覧いただきたいと思います。 (資料を示す)この資料は、安福のよさを継承し、現在県内で活躍している種雄牛の一覧であります。 少しだけ申し上げます。 一覧表には、令和三年度以降検定終了予定の十二頭、下段の四列、この四列を含め二十四頭が掲載されていますが、一覧表の左の列最上段、先ほど資料二で紹介の花清光、その右隣、中央列の最上段、茂勝真、その三頭下、中央列下段の花清国、そして小さな下段の左の列、令和三年度検定終了予定の枠で藤健翔、その右の列、令和六年度検定終了予定の最下段、清光勝、以上五頭は私の地元中津川市内で生産された種雄牛であります。 質問に戻ります。 本県の肉牛、飛騨牛は長い歴史を積み重ねて銘柄が確立され、引き継がれた血統によりその後も数々の功績を残してまいりました。しかし、一方で、繁殖雌牛の頭数が減少していることが心配されています。 早川捷也先生は、平成二十八年二月定例会の質問で、「飛騨牛の生産基盤である県内の繁殖雌牛の頭数は平成十九年度の九千二百頭をピークに減少に転じており、岐阜県生まれ、岐阜県育ちの飛騨牛の増産を目標として、繁殖雌牛の生産基盤を確保していくことが重要である」と述べられておられます。 そして、当時のぎふ農業・農村基本計画に触れられ、平成二十六年度の八千三百九十頭から平成三十二年度までに一万頭に増頭するという目標に向け、それに必要な様々な支援制度の強化について訴えられています。先生の先見性と強い思いが酌み取れます。 令和三年度からのぎふ農業・農村基本計画には、安福に代表される優れた能力を引き継ぐ後継種雄牛を造成するため、ゲノム解析技術などを用いた優良な系統の選抜を行い、種雄牛の造成や高能力の雌牛の保留・導入を推進し、飛騨牛の質・量の充実を図りますとあり、飛騨牛認定頭数を令和元年の九千七百八十四頭から、令和七年には一万五百頭とする目標指針も掲げられているところであります。 そこで、農政部長にお伺いをいたします。 優良な種雄牛と繁殖雌牛の確保について、今後の具体な取り組みについて、そのお考えをお伺いいたします。 繁殖雌牛の頭数減少は、高齢化などによる生産農家の廃業などが主な要因として挙げられます。そこで、担い手の育成に向け、令和二年四月からは飛騨牛繁殖研修事業をスタートしていただきました。JA全農岐阜、岐阜県、そして岐阜大学の産官学が連携した全国でも珍しい試みで、県内で肉用牛繁殖雌牛の飼養を始めたい方を対象とした二年間の研修事業であります。 岐阜大学応用生物科学部附属岐阜フィールド科学教育研究センター美濃加茂農場での研修は、肉用牛繁殖経営に必要な知識・技能などの習得、就農準備、そして実習と実践的研修が主に行われています。 他方、令和元年より飛騨市で始められました飛騨牛繁殖研修施設ひだキャトルステーションでの研修も第四期生の募集が始まっていると承知をいたしております。 いずれの取り組みも県内において飛騨牛の未来を担う担い手育成と繁殖雌牛の増頭が究極の目的であると考えます。当該事業が順調に進み、担い手育成と県内の繁殖雌牛増頭が順調に進んでいけば、岐阜県生まれ、岐阜県育ちの飛騨牛の増産、繁殖雌牛の確固たる生産基盤が確保していけるものと大いに期待を寄せるところであります。 しかし、昨今のコロナ禍の影響や飼料の高騰などは、畜産農家にとって極めて心配な案件であります。そうでなくても畜産業は基盤を持たない人が新たに経営を開始することはとりわけ難しい業種であります。これには様々な要因が挙げられますが、牛舎などの施設整備費、家畜の導入に要する費用がかさむことや、使用開始から実際に収入を得るまで、子牛を繁殖する農家で二十四か月、肥育農家では子牛を導入してから二十か月前後、この間は収入がないことなどが最大の要因となっています。 そうした厳しい状況の中でも、私の地元には県農業大学校で学び、肥育農家で修行をし、自ら牛を飼うことに熱い思いを持って就農した若者や、畜産業にもともと興味があり、遠い神奈川県から中津川市加子母内の肥育農家に御縁を結ばれ、来ていただいて十数年、御家族や地域の皆さんの支援をいただいて、日々飛騨牛の肥育に頑張っている青年もいます。 このように、県下各地の担い手の皆さんがさらに誇りとやりがいを持って頑張っていける環境づくり、また前回の第十一回全共宮城大会で初めて設けられた高校生の部において、見事初代日本一の最優秀賞、農林水産大臣賞に輝いた飛騨高山高校をはじめ、本年一月二十一日に開催されたJA全農の主催する第五回全国和牛甲子園・枝肉評価部門で堂々の優秀賞に輝いた大垣養老高校、同部門で奨励賞を獲得した加茂農林高校、こうした生徒さんたちが将来にわたって牛の飼育に興味を持ち続け、スムーズに就農でき得る体制づくりも必要不可欠と考えます。 そこで、農政部長にお伺いをいたします。 飛騨牛の振興において、担い手育成と県内繁殖雌牛の増頭については極めて重要な取り組みと考えますが、新規就農者等の担い手育成の取組状況と今後の展開について、お考えをお尋ねいたします。 結びに、十年前の全国和牛能力共進会長崎大会、五年前は宮城大会、早川捷也先生はどんなに遠くの大会会場でも率先して現地に駆けつけて、出品者の方々をはじめ関係された全ての皆様を鼓舞激励、応援されたと伺っております。 第十二回全国和牛能力共進会鹿児島大会まで残り半年となりました。改めて和牛日本一奪還を目指し、オール岐阜での総力戦を大いに盛り上げ、本大会にかける全ての関係皆様と早川先生の熱い思い、強い願いが成就することを切に願い、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(佐藤武彦君) 農政部長 長尾安博君。    〔農政部長 長尾安博君登壇〕 ◎農政部長(長尾安博君) 二項目三点の御質問をいただきました。 まず、大型・高性能農業機械の導入に際しての技能指導や安全対策について答えをいたします。 農業機械が大型化、高性能化し、操作も複雑化する中、操作中の事故防止に向けた技能指導や安全対策はますます重要になっております。 このため、県では「農作業安全の手引き」や注意喚起のチラシの配布に加え、安全講習と大型特殊免許取得に向けた実技講習を全農岐阜県本部や農機メーカーと連携し実施をいたしております。昨今、受講希望者が急増していることから、本年度は受講参加枠を昨年度の百二十三名から百八十名に増やしたところでございます。来年度はさらに枠を拡大するとともに、高性能機械の導入時などを捉えて、地域単位での農作業安全講習を実施し、さらなる受講機会の確保とその周知に努めてまいります。 また、本年度新たに国による農作業の安全指導者研修が実施され、中核的農業者など県内の三十六名が受講しております。今後はこうした方々に地域の指導者になっていただくなど、技能指導や安全対策のさらなる強化を図ってまいります。 次に、飛騨牛に関して優良な種雄牛と繁殖雌牛の確保に向けた取り組みについてお答えをいたします。 優良な種雄牛を造成するためには優良な親牛の選抜が必要となります。これまで血統や当該牛の子牛の枝肉成績などから判断する方法で選抜しておりましたが、時間がかかる、確実性が低いなどの課題がありました。そのため、現在は遺伝子情報を用いたゲノム育種化評価という科学的手法を取り入れて進めており、来年度には三頭の種雄牛候補が選抜される予定です。 次に、優良な繁殖雌牛の確保のためには、質の高い雌牛を県内に保留し増頭していく必要があります。このため、県では優良な繁殖雌牛を県内にとどめておくために要する経費や、増頭のために牛舎整備に対し支援を行ってきました。その結果、頭数が底を打った平成二十九年度と比較し、令和二年度時点では一〇五・七%となる七千九百六十頭にまで回復してきており、引き続き支援をしてまいります。 今後は、既存の交配指針を最新のゲノム情報を加味したものに改定するなど、マニュアル類の整備を行い、優良な種雄牛と繁殖雌牛の確保に万全を期してまいります。 最後に、飛騨牛に関しまして新規就農者等担い手育成の取組状況と今後の展開についてお答えをいたします。 飛騨牛の担い手確保のため、令和二年度に岐阜大学、JA全農と共同で美濃加茂市内に飛騨牛繁殖研修センターを開設し、新規就農を希望する方を対象に高度な飼養管理技術の習得に向けた飛騨牛繁殖研修を行っております。現在までに一期生三名、二期生二名が在籍し、一期生は今月で全課程を修了し、四月から県内で就農する予定です。 こうした修了生を含め新規就農者にとっては、畜舎の整備や改修に多額の初期投資を要することが課題となります。このため、平成二十七年度から畜舎整備や農機具導入等に対する県独自の支援制度を創設し、新規就農者については補助率を優遇して支援をしてまいりました。今後も引き続き支援を継続してまいります。 また、最近の傾向として、牛舎がスムーズに確保できない事例が見受けられます。このため、従来行ってきた空き牛舎のマッチングに加え、来年度は新たに賃貸型のアパート牛舎の整備を支援してまいります。…………………………………………………………………………………………… ○議長(佐藤武彦君) しばらく休憩いたします。 △午前十一時四十五分休憩 …………………………………………………………………………………………… △午後一時再開 ○副議長(松岡正人君) 休憩前に引き続き会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(松岡正人君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。二十一番 林 幸広君。    〔二十一番 林 幸広君登壇〕(拍手) ◆二十一番(林幸広君) 議長より発言のお許しをいただきましたので、通告に従い、大きく分けて三点について質問いたします。 最初に、イノシシ肉の流通再開に向けた取り組みと今後の支援策についてお尋ねします。 令和二年度の県内における鳥獣被害総額は、およそ二億一千九百万円となっているそうです。この被害額は、ここ十年ほどは減少傾向にありますが、それでも相当の額となっています。そして、その被害総額のうち六割はイノシシ、鹿、猿の三種によるものだそうです。このうちイノシシについては、近年大きな変化がありました。 平成三十年九月に県内の養豚場において、国内で二十六年ぶりに豚熱が確認されましたが、それ以後は野生イノシシへの豚熱の蔓延や捕獲の強化により個体数が減少し、イノシシによる被害額全体は幾分減ってきております。一方で、それに代わって鹿による被害が増加傾向にあります。駆除対象の動物にも変化が生じているようです。 対象となる獣種が変化すると、これまでとは異なる新たな対策や対応を求められることとなり、今後の県をはじめ、関係機関の鳥獣害対策の取り組みにも影響が出てくるのではないでしょうか。 ところで、捕獲対象となる動物については、SDGsの考え方に従うとすれば、陸の豊かさを守るということで、単に捕獲、駆除するだけではなく、その利活用を図ることも必要です。無論SDGsという概念がなくても、これまでも捕獲した動物ごとに肉や皮など利用できる部位は利用してきました。 肉については、食用にできる部位はジビエとして食用に供することで、有効活用を図れるよう取り組んでまいりました。天然に育成した肉は飼育下のそれとは異なった肉の味を楽しむことができます。 県では、このジビエを「森のごちそう」としての活用を図る取り組みが進められており、提供体制の整備やぎふジビエ衛生ガイドラインに即して解体処理された肉を扱う業者の登録制度を設けて、積極的に利用の促進に取り組んでいることは承知しております。この制度が創設されたのは平成二十七年で、同年度末には登録事業者・店舗数は四十七件でしたが、それが令和二年末で百十の事業者・店舗になったそうです。ジビエの利用に業者も関心を持っていることがうかがえます。 さて、ジビエの振興といっても様々な肉があると思いますが、特にイノシシ肉については冒頭申し上げましたが、本県で発生した野生イノシシの豚熱への感染がありました。そして、現在においても野生イノシシへの豚熱が全国的に拡散している現状があります。 豚熱対策として様々な取り組みがなされる中、ジビエ振興という観点で、三年前はジビエ利用の禁止、一昨年は狩猟者が自家消費であれば問題はないと少しずつ基準が下がってきており、昨年四月に、国は豚熱の陽性固体が確認されている地域においても、一定の基準をクリアすればジビエとして市場に流通できるとして、「豚熱感染確認区域におけるジビエ利用の手引き」を発出しました。 県内では野生鳥獣を解体処理している業者は五十以上もあり、事業者にとっては朗報でしたが、県内ではいまだに陽性固体が捕獲される中で、イノシシ肉を流通させて安心・安全ではないのではないかといった懸念もあります。一方で、イノシシ肉を欲している業者もあります。野生イノシシの豚熱への感染がいまだ終息していない中で、どうジビエを再び振興していくのか、ぜひとも農場で飼育されている豚を守り、ジビエ振興を進めてもらいたいところです。さらに、流通しているイノシシ肉は、豚熱ウイルスに感染していない商品であることをアピールした上で、流通できるようになることを希望します。 そこで農政部長にお尋ねします。 国の手引が発出されてからの本県におけるイノシシ肉の流通再開に向けた取り組みと、今後の支援等についてお考えをお聞かせください。 次に、防犯カメラ設置補助金の実績と将来展望についてお尋ねします。 防犯カメラは、地域の治安の向上に大きな役割を果たしています。防犯カメラの設置によって昨今急増する犯罪の抑止や、その映像から犯人の特定や行方を割り出すなど、その効果は地域住民の安全確保に十二分に役立っていることを証明しています。これについては、昨年第五回定例会で私が議会で取り上げたときも同じことを申し上げましたが、その第五回定例会では、県警察が防犯カメラ設置補助金の申請が多く、補助金の上限に達したとのことで、補正予算を組み、当初予算七百万円から三百万円の上積みをして、合計一千万円の予算の補助金事業を行っていただきましたが、その補助金も年度途中でいっぱいとなり、申請の受付を終了したとのことです。 県と同じ補助金制度を設けている県内市町村は、本年二月時点で四十二市町村中十九市町、ほかの制度を準備中が四市町あるとのことです。この数は、令和三年九月時点には十八市町が制度を設け、二市町が準備中でありましたので若干増加していますが、防犯カメラは地域住民の身近に起きる犯罪及び地域住民が不安に感じる事案の発生を抑止する効果があり、県内市町村においても防犯カメラ設置の必要性を感じて、今後さらに制度の創設が進んでいくのではないでしょうか。そういった補助金制度を活用しつつ多くの防犯カメラを設置して、その効果を高めていく必要があると思います。 しかしながら、周囲の声に耳を傾けますと、この補助金制度の在り方を知り、いざ申請しようとしたときには既に予算を使い切ったと聞いたので、申請自体を諦めたというものもありました。補助が受けられるのであれば防犯カメラを設置したいという希望は、実際に申請のあった数よりずっと多かったのではないかと推測されます。カメラを設置したいと希望しながらも、費用面で諦めている地域が相当数あるのではないでしょうか。 この補助制度は二か年計画であり、令和四年度にも実施されますが、その額は四百万円とのこと。前年度実績から考えた場合、果たして適切な額と言えるのでしょうか。 さて、今県が補助している費用は、カメラの設置に関わるものとなります。日々カメラの運用に関わる費用については、全額設置者の負担になっております。また、当然のことですが機械である以上、いつかはその耐用年数を超え、交換の時期が訪れます。交換に関わる費用が補助の対象とならないとした場合、地域によっては交換を諦め、撤去するという事態も考えられます。せっかく地域の安全のために設置したものが、費用を賄えないがため撤去されるというのでは、非常にもったいないと思います。 また、現在設置が確認されているとして県警察が把握している防犯カメラは、令和三年十二月末現在でおよそ八千三百か所で、およそ三万二千六百台です。設置希望地域がまだまだ存在しているということは、地域的な偏りもあるのではないかと考えます。 防犯カメラは、地域の治安の向上に大きな役割を果たしており、防犯カメラが多くの地域に広がることで県下の治安がよくなって、県民の安全・安心な暮らしにつながっていきます。しかしながら、防犯カメラが壊れたときなどに再設置ができず、その防犯効果が薄れていく地域も出てきてしまうのではないかと心配をいたしております。 また、来年度末には当然事業の内容を検証し、翌年度以降も補助金事業を検討する必要があると思いますが、間もなく今年度が終了するため、まずは今年度の実績や来年度予算に関わる設置計画について報告お願いいたします。 私は、防犯カメラによる防犯効果は絶大だと思っており、さらに警察もその防犯カメラの画像については、捜査にも当然役に立つことができるものとなります。二か年計画とは言わず、今後も長くこの補助事業を続けていくべきだと考えます。 そこで警察本部長にお尋ねします。 街頭防犯カメラ設置促進補助金交付事業について、今年度の実績と来年度予算に関わる設置計画、そして二か年計画後、街頭防犯カメラ設置補助金事業の展望についてお考えをお聞かせください。 最後に、障がい者総合就労支援センターのこれまでの総括と今後の取り組みについてお尋ねします。 岐阜県の有効求人倍率は、岐阜労働局のまとめによれば、一昨年八月を底に徐々に上昇し、令和四年一月では一・五八倍になったとのことでした。昨年や一昨年のように経済活動が縮小に向かうのではなく、徐々に回復の兆しを見せているのではないでしょうか。もっとも、これはいわゆる健常者についてのものであり、障がい者の雇用はこれとは違う動きもあると予想できます。 ところで、障がい者の法定雇用率は、令和三年三月一日から民間企業では二・三%、国・地方公共団体等では二・六%、都道府県等の教育委員会では二・五%に引き上げております。民間企業の場合、雇用している従業員数が四十三・五人以上になると障がい者を雇用する義務が発生することになります。 厚生労働省がまとめた令和三年障害者雇用状況の集計結果によれば、雇用障がい者数は五十九万七千七百八十六人で対前年比三・四%、一万九千四百九十四人増加となったとのことでした。しかしながら、民間企業における法定雇用率達成企業の割合は四七%、対前年比一・六ポイント低下とのことでした。企業規模別で見た場合、法定雇用率達成の割合は千人規模以上の企業でも五五・九%、より規模の小さい企業では達成率が五〇%にも届いておりません。また、企業規模によらず、前年より達成率は下がっております。 これらから考えると、障がい者の雇用はやはり厳しい現実があると思います。障がい者雇用が進まない原因として考えられることは、企業側の理解が不足している、雇用するに当たって障がい者に従事してもらう職務を選定するためのノウハウがないなどです。こうした企業側の課題を解決することで障がい者にとって働きやすい職場環境の設定や、障がい者各個人に適した職務を提供することが可能になると考えます。また、就労機会を提供できることによって、障がい者自身の自立を助けることや、障がい者の持つ個性や特性を生かすことにつながると考えます。 また、障がい者を障がい者として区分せず違いを認めながら、いわゆる健常者と同じように接することも必要なのではないでしょうか。障がい者の個性や特性は、いわゆる健常者の持つそれとは違った感覚や発想が生まれるようです。そうした感覚や発想が思わぬ結果を生み出すことも考えられます。それらは、実際働いてもらうことで初めて見えてくるものかもしれません。そうした発想や見方に気づかされることは、一種の発見かもしれません。障がい者を雇用し、それぞれの障がい者に適した職務を担ってもらうことで、雇用に成功した事例は幾つも報告されているところです。 さて、障がい者の就労促進については、県は令和二年四月に障がい者総合就労支援センターを開設し、関係諸機関と連携して取り組みを行っています。 センターについては、ちょうど二年前の議会において県民クラブ代表質問の際、私も取り上げさせていただきました。このセンターには、就労支援のための岐阜県障がい者雇用企業支援センター、職業訓練のための岐阜県立障がい者職業能力開発校、職業紹介のための岐阜県立ハローワーク、定着支援のための障がい者就業・生活支援センターが設置されており、障がい者や企業に対する支援や啓発が行われております。 県としても、このように力を入れて障がい者雇用に取り組んでいるところでありますが、実際の雇用状況はどうでしょう。厚生労働省の調査結果にあるように、なかなか進まない状況もあるのではないでしょうか。 そこで商工労働部長にお尋ねします。 岐阜県障がい者総合就労支援センター開設から二年を迎え、センターのこれまでの取り組みの総括と今後の取り組みについてお聞かせください。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(松岡正人君) 農政部長 長尾安博君。    〔農政部長 長尾安博君登壇〕 ◎農政部長(長尾安博君) イノシシ肉の流通再開に向けた取り組みと今後の支援策についてお答えいたします。 昨年四月に国は、豚熱検査が陰性であればジビエ利用を可能とする手引書を発出しましたが、本県ではいまだに野生イノシシの豚熱感染が確認され、その拡大を防止するため、有識者の意見を踏まえて今シーズンのジビエ利用の解禁を見送りました。 現在、来シーズンからのジビエ利用の再開に向けて、県内三事業者で施設基準や安全な処理方法の実証を進めており、本年一月からは試験的な流通を開始いたしました。これに併せ、消費者がイノシシ肉を安心して購入できるよう個体管理番号から豚熱検査結果を確認できるアプリの運用も開始しております。 今後これらの検証結果を踏まえ、国の手引をより具体化した県独自の運用マニュアルを策定し、全てのジビエ事業者に徹底をしてまいります。さらに来年度は、鹿肉などと一緒に処理する際の交差汚染を防止するため、例えばイノシシ専用の解体処理ラインを増設するなど必要な施設改修に対する補助制度を創設し、ジビエ事業者の再開を支援してまいります。 ○副議長(松岡正人君) 警察本部長 加藤伸宏君。    〔警察本部長 加藤伸宏君登壇〕 ◎警察本部長(加藤伸宏君) 街頭防犯カメラ設置促進補助金交付事業の実績と将来展望についてお答えします。 本事業は、安全で安心なまちづくりを推進するため、県下全警察署の管内において防犯カメラの設置費用を補助し、県下あまねく防犯カメラの整備・普及の機運を高めて、各自治体による同種補助金制度の創設・拡充につなげることを企図した二か年度事業です。 今年度の実績としては、十七警察署管内の都合三十四団体からの申請に係る防犯カメラ百九台分、金額にして約一千万円を交付決定いたしました。来年度は、残る五警察署管内への防犯カメラの設置補助を重点に、今年度の申請状況も踏まえて補助事業を実施いたします。 県警察としては、本事業の終了後、速やかにその実施結果を検証し、効果や課題を精査した上で各自治体や地域住民と手を携え、あるいは後押しをしつつ、各自治体による防犯カメラ設置補助金制度の創設・拡充を念頭に施策を検討し、安全で安心なまちづくりのさらなる推進に取り組んでまいりたいと考えております。 ○副議長(松岡正人君) 商工労働部長 崎浦良典君。    〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕 ◎商工労働部長(崎浦良典君) 障がい者総合就労支援センターのこれまでの総括と今後の取り組みについてお答えします。 障がい者総合就労支援センターは、就労相談から職業訓練、職業紹介、定着支援まで、障がい者一人一人の特性に合わせた就労支援をワンストップで実施しております。また、企業の理解促進や働きやすい職場環境づくりに向け、セミナーや専門家の派遣などを実施してまいりました。その結果、三千人を超える障がいのある方々への就労支援と、四百六十三の職場実習事業所の開拓等により、本年一月末までの累計で八百七十八人の方々の就職につなげてまいりました。 一方、昨年六月時点の県内企業の障がい者雇用者数は、コロナ禍にあっても過去最高の六千九百二十八人となったほか、全国的に法定雇用率達成企業の割合が減少する中、本県では前年を上回る五四・八%となるなど、一定の成果が表れてきているものと考えております。 今後は、コロナ禍で不安が増す精神障がい者への支援体制を強化するとともに、長時間働くことが難しい障がい者の方々を支援する岐阜市の(仮称)超短時間ワーク応援センターを併設し、障がい者の就労支援機能をさらに強化してまいります。 ○副議長(松岡正人君) 八番 所 竜也君。    〔八番 所 竜也君登壇〕(拍手) ◆八番(所竜也君) 新型コロナウイルス感染が世界中で、全国で広がり二年がたちました。現在感染され療養されてみえる方、そういった方にお見舞いを申し上げますとともに、お亡くなりになられた方の御冥福をお祈りします。また、一日も早く新型コロナウイルス感染が終息し、来年度こそは様々な行事やイベントが通常どおりに開催されることを願っております。 議長より発言のお許しをいただきましたので、今回は農政関係について四点質問させていただきます。 平成三十年九月、国内で二十六年ぶり、本県では実に三十六年ぶりに発生した豚熱(当時豚コレラと呼称)は、発生から三年が経過しました。 発生から一年が経過した時点では、県内二十の農場で発生し、当時県内で十一万六千頭飼育されていた豚のうち、七万頭が殺処分されています。その後、豚へのワクチン接種が行われるようになり、それ以降、農場や職員の皆様の努力によって県内における発生は確認されていないのですが、全国を見れば直近では昨年十二月、宮城県で七十六例目となる豚熱の発生が起きており、依然として危険な状況であることは間違いありません。発生した農場では、県の支援もあり、再開を目指し血のにじむような努力と、もう二度と自分の農場では発生させないとしてあらゆる対策を講じてきています。 私の地元、揖斐川町でも豚熱発生から経営再開に必死に取り組まれた農場があります。 令和元年八月、その養豚農場付近で豚熱陽性の野生イノシシが捕獲されました。私も嫌な予感がしたのですが、一週間後に農場から豚熱が確認されたのでした。私も自宅の近所であったため、いても立ってもいられず、支障のないようにして現場へ視察に出向きました。真夏の作業のため夜中を中心に行われましたが、当時、苛酷な環境下で殺処分に従事された県の職員をはじめ、建設業界や関係者の方々には頭の下がる思いでした。 そして、農場主さんのお気持ちは察するに余るところがありましたが、失意の中でも築き上げてきた養豚事業者としての矜持や熱い気持ちを消すことなく、事業復活に向けて精力的に再建に取り組まれました。その結果、発生から一年もたたない令和二年五月には、飼養衛生管理レベルの高い農場の整備を完了され、経営再開を果たし、豚の出荷を再開するまでに至りました。発生から二年以上経過した今では、豚熱発生以前の業績の七割近くまで回復されたと伺っております。 ただいまお話しした農場は一例ですが、そのほかの農場も同様に再建に向けた取り組みを推し進めており、こうした一つ一つの小さな努力を積み重ねてくださった結果、岐阜県における豚の飼育は、現在約九万六千頭ほどまで回復をしてきています。養豚農家さんの中には、後継者不足などを理由に廃業された農家さんもお見えになりますが、多くの農家さんが県の畜産振興のために御尽力されておられることに、改めて感謝を申し上げる次第であります。 しかしながら、全国では野生イノシシの豚熱感染が拡大しており、北は宮城県、西は兵庫県まで広範囲にわたり、豚熱に感染した野生イノシシが捕獲をされています。 県内においても、三年前と比べて豚熱ウイルスに感染した野生イノシシの捕獲は減少してはいますが、私が住んでいる地域の川東となる本巣市でも、昨年九月に陽性イノシシが捕獲されており、まだまだ予断を許さない状況が続いております。 県が開催するCSF有識者会議の委員からも、豚熱の撲滅には少なくとも五年から十年はかかるとの見通しが出されている中、農場を守る対策と野生イノシシ対策の両輪で進めてほしいと思います。 農場において、野生動物から飼育されている豚への感染を阻止することは喫緊の課題であり、幾ら農場が飼養衛生管理を徹底したとしても、それは農場内に豚熱ウイルスを持ち込ませないための対策であります。農場外のウイルスをなくす対策、すなわち野生イノシシ対策にも強化した取り組みが重要であります。 野生イノシシ対策においては、野生イノシシの捕獲強化と経口ワクチンによる抗体の付与を推し進めていますが、経口ワクチンの付与については、全国的に見ても抗体を持つ野生イノシシの割合が一から三割程度にとどまっており、終息に向かう割合には程遠い状況となっています。 岐阜県の養豚農場を守るには、五年、十年スパンの息の長い対策が必要であり、どうか息切れすることなく対策を講じていってほしいと強く願っております。 そこで農政部長にお伺いいたします。 野生イノシシの豚熱ウイルスの拡散防止に向けた県の対策についてお伺いします。 次に二つ目は、農村地域で暮らす方々や農地を自然災害からしっかりと守り、安心できる農村地域の環境を整備していくかについてお聞きいたします。 二〇一七年七月五日、九州北部における線状降水帯による大雨で、福岡県朝倉市内のため池が上流で発生した土石流により貯水池に土砂と流木が流入し、堤体のほぼ全体が決壊・流出して、麓の集落で三人が土砂にのみ込まれて亡くなりました。また、二〇一八年の六月二十八日から七月八日にかけて、西日本を中心に台風や梅雨前線等の影響により集中豪雨となり、広島県福山市では、周辺農家が共同利用するため池の上流域にあったグラウンドの崩壊を起点とした山腹の地滑り破壊によりため池が決壊して、土石流が住宅を襲い、巻き込まれた三歳の女の子の命が奪われるなど、大変痛ましい災害となりました。 この二つの大規模な豪雨災害で浮き彫りとなったのが、農業用ため池による災害です。そもそもため池は降水量が少なく、流域の大きな河川に恵まれない地域などで農業用水を確保するために水を蓄え、取水できるように人工的に造成された池です。ため池の多くは、水利組合や集落などの受益者を主体とした組織によって管理されていますが、農家戸数の減少や土地利用の変化から、管理及び監視体制の弱体化が懸念されているのが現状です。 一般にはあまり知られていないことですが、ため池の決壊は以前から全国各地で発生しています。農林水産省によると、二〇一一年度から二〇二〇年度にかけて計一万四百五十八か所が被災し、このうち決壊は四百十六か所に上り、原因は豪雨によるものが九九%、地震によるものが一%となっています。 岐阜県内のため池は、三十の市町村で二千二百五十八か所確認されています。このうちため池の下流に人家や国道などの重要な施設があり、何らかの理由で決壊すると大きな被害が生じるとされる防災重点農業用ため池は千三百九十九か所指定されていると伺っております。今後は、本県においても、北九州や広島のようなため池決壊による被害が起きない、起こさない取り組みを今以上に進める必要があるのではないでしょうか。 実際、岐阜県での令和二年七月豪雨災害と令和三年八月大雨の災害は、皆さんの記憶にも新しいと思います。こちらの二つの災害では農業関係の被害も甚大であり、令和二年七月豪雨では、飛騨地域を中心に農業生産施設、農地、農業用施設などの埋没、ホウレンソウ、トマトハウスの冠水など、実に三十四億四千万円もの被害を受けました。このとき地元住民が農村の景観保存に取り組んでおり、ぎふの棚田二十一選にも選ばれていた高山市滝町の棚田でも水田の半分近くが抜け落ち、民家に土砂が流入するなど被害も発生いたしました。 令和三年八月の大雨では、東濃地域と飛騨地域の一部において、農地のり面の崩壊や農地への土砂流入などが発生し、二十億四千三百万円にも上る被害が発生しています。 こうした自然災害による被害から、農家さんの命、身体、財産はもちろんのこと、安全・安心な暮らしや美しい農地景観を守り、ひいては農業者の営農意欲減退を防止するためには、農業用ため池をはじめ農業用排水路などの農業用防災施設の整備、さらには農村集落内の防災安全対策が必要であると考える次第であります。 そこで農政部長にお尋ねいたします。 今後の農村地域の防災・減災に向けた取り組みについて御答弁をお願いいたします。 続いて三点目の質問は、岐阜県の中山間地域の特産物であるお茶についてです。 県内の茶産地は大きく二つに分かれ、揖斐郡を中心とした美濃いび茶、加茂郡を中心とした美濃白川茶の銘柄で生産・流通・販売が行われています。岐阜県では、現在までに県産一〇〇%の茶葉を原料としたお茶を美濃茶として位置づけ、ブランド化を進めてきました。 その中でも、私の地元揖斐郡の美濃いび茶は、豊かな自然環境が育んだお茶づくりとして、茶の栽培が戦国時代末期から江戸時代にかけて盛んになったと伝えられています。 宝暦九年(一七五九年)には、江戸幕府御用番茶を申しつけられ、美濃茶が誕生したと言われています。当時の新しい茶の製法を採用し、三重の桑名通いの船で販路を広げてきたそうです。また、開国から明治初頭にかけては輸出産物として生産面積、生産量ともに増大し、美濃いび茶の名が各地域で広く根づいて知られることになりました。 現在、美濃いび茶の生産は、主に揖斐川町と池田町の二町を中心として行われています。揖斐川町では主に桂地区でお茶の生産・加工がされており、池田町では池田町西部山麓道路沿いに宮地地区から山洞地区の傾斜地を中心に茶園が広がっています。 私は、今年の一月下旬に揖斐川町桂地区の桂茶生産組合に伺い組合員の方々と、また二月中旬に池田町美濃いび茶宮地生産組合と美濃西部製茶組合の方々とそれぞれ意見交換をさせていただきました。 桂茶生産組合では、農業生産工程管理手法の一つでもありますJGAPに認証されており、さらにより安全な食品提供に対する消費者の高い信頼を世界的なレベルで得られるアジアGAPにも認証されています。また、桂茶生産組合の女性後継者の方々が、揖斐川町産一〇〇%のいび茶の工場直売にも取り組まれています。産地元詰めで新鮮な茶葉が購入できたり、その場でお茶も飲んで楽しめるカフェ「いび茶の里」も運営をされています。 しかし、一方では、お茶の生産や加工などに課題や問題を抱えられておられました。桂茶生産組合は、組合員の茶の生産、特に荒茶加工についての協業を行っており、平成十二年頃に乗用摘採機を導入して以降一気に機械化を進め、生産性の向上・低コスト化を図り、平成三十年には二億円の売上げがありました。しかし、その後は茶価の低迷やコロナなど様々な要因によって令和三年の売上げが九千万円に減少するなど、厳しい現状を強いられています。 また、農業問題の大きな課題でもある担い手についても、農業従事者の高齢化と後継者不足は深刻な問題となっていて、桂茶生産組合の農家さんの平均年齢も七十歳を超えてきているそうです。現状の茶生産の労働力確保が厳しい中、茶園被覆をして育てる茶(かぶせ茶)の生産のため、遮光用シートの展開、除去作業は大変重労働のようです。これに代わる資材・栽培法がないため、繁忙期にはシルバー人材をお願いしてやりくりしているようですが、同じ人材が確保できないため苦労をされています。 池田町の生産組合の方もJGAPの認証を受けられ、さらにぎふ清流GAPにも取り組んでいますが、昭和四十年代をピークに茶生産戸数は減少し、経営環境の変化など様々な要因で、残念ながら生産組合の一団体が廃業・解散するなどのお話をお聞きしました。池田町の茶園は、地形が急斜地なため乗用の機械で作業ができないところが多く、生産組合の高齢化や担い手不足の課題がここでも深刻となっていました。 また、茶園には、茶葉の凍霜など気象被害を防ぐ防霜ファンが整備されています。栽培している茶葉が凍霜害を受けると品質に大きな影響を及ぼすので、霜が降りる時期はファンを稼働し続けなければなりません。最近は電力会社により電気料金の値上げがあり困っていました。さらに、昭和の終わり頃から平成の初めに整備された防霜ファンは耐用年数が過ぎており、さらに多額の費用がかかるため今後の課題となっているようです。 それぞれ茶生産組合のお話を伺いましたが、主に茶栽培面積の減少、茶価の低迷による生産意欲の減退、高齢化による担い手の減少、急斜地の地形での機械化難、効率の悪い茶園の耕作放棄など、様々な課題を伺いました。 茶の消費の現状を全国統計から見てみますと、緑茶の一人当たりの購入量は昭和四十五年には五百二十七グラムありましたが、令和元年では二百六十六グラムとなっているようです。生活習慣の変化によるリーフ茶の需要低迷で、家庭での急須を用いてお茶を飲用する機会が減少しています。 このように茶を取り巻く環境は厳しい現状ではありますが、揖斐川町の桂茶生産組合の方や池田町の生産組合の方々も、今後は茶生産に課題や問題はあるものの、一層の機械化による生産性の向上や、人材確保策の解消に創意工夫して取り組むなどしています。国の補助事業を活用しながら生産体制の強化にも意欲を持っておられました。 また、揖斐郡など中山間地域に広がる茶園風景はとてもすばらしい景観です。揖斐川町の桂地区では春から初夏にかけて、茶生産組合や地域の方々がお茶っ葉を手摘みで行う伝統的な風景も見られます。特に、池田山に広がる茶園はまるでグリーンカーペットのような感じで、その景観もとてもすばらしいです。 そこで農政部長に今後の県における持続可能な茶産地づくりなど、振興支援についてお尋ねをいたします。 四つ目、最後は、令和四年度岐阜県農業フェスティバル開催についてです。 二〇一九年、令和元年十月二十六日から十月二十七日の二日間、「清流の国ぎふ」飛騨・美濃じまん、第三十三回岐阜県農業フェスティバル「知ってもらおう 見つけだそう 創りだそう ふるさとのじまん」をコンセプトとし、岐阜県や農業協同組合中央会など十九団体による実行委員会が主催し、開催されました。このイベントは三十年以上の歴史があり、岐阜県農業の現状と将来方向性を広く県民にPRするとともに、県産農畜水産物や加工食品の消費拡大を通して、本県農業の一層の活性化を図る趣旨として実施されてきています。会場では、岐阜県内各地域の農産物生産者の方々が新鮮な野菜や果物、山菜など旬の食材や特産品を販売、また農家直売の値打ち品なども来場者の人気を集めています。 令和元年開催時は豚熱発生後ということもあり、豚熱感染予防のための豚へのワクチン接種が県内で始まった直後で、県養豚協会はブランド豚「ボーノポーク」など六銘柄を無料で振る舞って消費を呼びかけるなどのよいPR活動の機会となっていました。 また、先ほどお話しした美濃いび茶の生産者の方も、農業フェスティバルではお茶がたくさん売れて、絶好のPRと販売の機会と言っておられました。私の地元揖斐川町の造り酒屋さんも、新酒「揖斐の蔵しぼりたて」を農業フェスティバルで先行販売するなど、地酒のPRの場ともなっています。 岐阜県農業の取り組みとしても、スマート農業のPRで農業機器や最新機械の展示・体験などに加え、農業担い手コーナーを設けて活動紹介や各相談会も行われています。また、清流長良川の鮎と世界農業遺産の取組紹介や、各種アユ商品の販売も行われています。さらには県政PRコーナーや県内観光の紹介も、会場に訪れた県内外の方々にもお知らせするよい機会であると思います。 しかし、岐阜県農業フェスティバルも令和元年度に開催されて以来、二年連続で新型コロナウイルス感染拡大防止対策や、県庁舎建設工事による安全確保で開催が中止となっています。 新型コロナウイルスの感染状況が不透明なところもありますが、最近ではスポーツ観戦やコンサートなど様々な行事も、コロナ対策を講じた上で行動制限や三密回避など工夫するなど、ルールを定めて実施をしているところもあります。 岐阜県農業フェスティバルは、生産者や事業者が県内外の来場者の方々と触れ合い、生産者同士が情報交換できる場でもありますし、何よりもコロナの影響を受けている農家や生産者の方々が少しでも元気になっていただくよい機会であると思います。 また、最近ではコロナ禍ということもあり、飲食事業者さんがキッチンカーを導入して商売される方も増えてきています。このようにキッチンカーを活用した、岐阜県産農畜水産物を使った料理や商品などの地産地消にフォーカスした企画もよいのではないかと思っております。 数々申し上げましたが、今回の令和四年度当初予算にも農業フェスティバル開催費の予算が計上してあります。最後に期待を込めて、農政部長にお尋ねをいたします。 コロナ終息や実行委員会との協議もあると思いますが、令和四年度農業フェスティバル開催について、岐阜県のお考えをお聞かせください。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(松岡正人君) 農政部長 長尾安博君。    〔農政部長 長尾安博君登壇〕 ◎農政部長(長尾安博君) 四点御質問いただきました。 まず、野生イノシシの豚熱拡大防止に向けた対策についてお答えをいたします。 本県の野生イノシシ対策は、捕獲の強化と経口ワクチン散布の二つの柱で進めております。 まず捕獲の強化では、県の調査捕獲と市町村の有害捕獲などにより、令和二年度当初までに生息数は半減しましたが、令和三年度には再び増加傾向が見られ、これまでに十四頭の陽性イノシシを確認しております。このため、農場周辺や感染イノシシの確認地域において集中的に捕獲を行うなど、来年度は年間一万頭の捕獲を目指してまいります。 次に、経口ワクチン散布では、この三年間で延べ十五回、合計約五十二万個を県内全域に散布をしてまいりました。引き続き農場の周辺地域に重点的に散布するとともに、野生イノシシのワクチン接種率をより高める散布方法を検証するなど、抗体付与の実効性を高めてまいります。 次に、農村地域の防災・減災に向けた今後の取り組みについてお答えいたします。 まず農業用ため池については、昨年三月に作成した工事等推進計画に沿って、防災重点農業用ため池を優先して防災工事を進めており、引き続き規模や下流への影響などから優先度を判断しつつ、計画的に実施してまいります。 また、ため池の管理体制の強化に向け、遠隔監視システムの整備を行うほか、本年度から着手した防災行動計画の作成や図上訓練の実施箇所を拡大し、地域防災力の強化を図ってまいります。 次に、農地の崩壊や冠水に対しては、農地に隣接する排水路や県内六十か所の農業用排水機場について、排水能力や老朽度などに応じ計画的に整備するとともに、流域全体の治水能力の向上に向け、来年度から新たに水田に雨水を一時的に貯留し、流出量を抑制する田んぼダムの実証を進めてまいります。 さらに、農村地域の生活環境を守るため、宅地回りの排水路や道路、土砂災害から家屋などを守る土留め壁など、地域の実情に応じたきめ細かな整備を引き続き推進してまいります。 続いて、岐阜県における持続可能な茶産地づくりなどの振興支援についてお答えをいたします。 担い手の高齢化などにより、管理不足の茶園が増え生産量が減少する中、県では昨年三月に茶の振興計画を策定し、生産振興、担い手の育成、流通・販売・消費拡大の三つを柱として茶産地の維持発展に取り組んでいるところです。 生産振興に向けては、茶園の面的整備や老朽化した茶の木の改植を進めるとともに、省力化につながる乗用摘採機などの高性能機械や、防霜ファンなどの設備導入を支援してまいります。 また、担い手不足に対しては、機械化に加え作業受託組織の育成と茶園の利用集積を進め、産地の維持を図ってまいります。 さらに、消費拡大に向けては、多様化する消費者ニーズに対応した特色あるお茶づくりが必要です。このため、現在産地で進みつつあるGAPの取り組みをより一層拡大するほか、魅力的な新商品の開発や大手飲料メーカーとの連携、さらには輸出などの販路開拓に向けアドバイザーを派遣するなど、産地とともに持続的な茶産地づくりに取り組んでまいります。 最後に、令和四年度岐阜県農業フェスティバルの開催についてお答えいたします。 農業フェスティバルは、農業関係団体等で構成する実行委員会の主催で、昭和六十二年の開始以来三十三回の開催を数えており、約十八万人が来場する大型の農業イベントとなっております。そうした中、議員御紹介のとおり、ここ二年連続で開催中止を余儀なくされました。とりわけコロナ対策では様々な検討がなされたものの、来場者の管理や安全確保が難しく、中止やむなしとの判断に至ったものであります。 代替措置として、ネット上での農業フェスティバルなどを行いましたが、農業者や事業者の方からは、中止はやむを得ないが販売の機会を失ったといった声も寄せられております。 県としましても、令和四年度の開催に向けて所要の予算を計上しておりますが、今後の新型コロナウイルス感染症の状況や庁舎建設工事の進捗状況等を踏まえ、実行委員会で協議してまいります。 ○副議長(松岡正人君) 十六番 恩田佳幸君。    〔十六番 恩田佳幸君登壇〕(拍手) ◆十六番(恩田佳幸君) 議長から発言のお許しをいただきましたので、通告に沿って質問をさせていただきます。 一点目は、グリーン・ツーリズムを新たな体験型観光として確かな産業へと構築をしていくためのビジネスモデル構築に向けた取り組みについてお尋ねをいたします。 グリーン・ツーリズムとは、農山漁村に滞在し農林魚業体験等を楽しみ、地域の人々との交流を図る余暇活動のことで、都市住民に自然やそこに暮らす人々と触れ合う機会を提供するだけでなく、地域にとっても新たな出会いと交流が農山漁村を活性化させ、新たな産業を創出することが期待されております。 観光の在り方も、これまでのように観光地として整備をされた場所に何千人、何万人と訪れる量的なスタイルから、個々がそれぞれの地域ならではの自然や文化など、資源や本物のよさを見つけ感じていただく体験型の観光へと変わりつつあります。 また、最近ではグリーン・ツーリズムから、さらに一歩進んだ新しい旅の定義も次々と生まれており、大手の旅行会社のアンケートでは、国内の旅行者の八二%は「旅行においてサステーナビリティーが非常に重要」と回答をしております。こうした旅行は特に欧米の富裕層の間で人気があり、世界の市場規模も二〇一七年時点で七十五兆円とも言われております。コロナ終息後のインバウンドを見据え、こういった新しい観光に向けた取り組みを世界に、そして他県に後れを取ることなく取り組んでいくことも必要と考えます。 グリーン・ツーリズムの取り組みは、県内各地で既に様々な形で実施がされております。その一例として、棚田での農業体験や栗や柿の収穫体験、お茶摘み体験や鹿の解体教室、川を下るラフティングなどがあります。昨今では大自然に囲まれた中、テント内でまきストーブをたきサウナを楽しむテントサウナなども大変人気があり、自然や農村生活に触れる様々な体験が観光の一環として取り入れられています。 また、県では都市住民の方などが農村地域の住民と一緒に保全活動や交流活動等を行う「ぎふの田舎応援隊」を運営されており、現在九百五十名を超える隊員の方々が登録されていると伺っております。自然に囲まれた環境で農地の草刈り作業などを行う応援隊活動も、県内グリーン・ツーリズム等の発展につながるとも考えられます。 平成二十九年には「ぎふの田舎へいこう!」推進協議会が設立され、約百三十ものグリーン・ツーリズムに関わる方々が会員にとなって、多様化するニーズに対応した岐阜らしい、岐阜ならではのグリーン・ツーリズムの実現に向け、本物のよさを実感していただく取り組みを行っています。 グリーン・ツーリズムのさらなる推進を図るためには、各地で実施されている取り組みを会員相互で共有し、質の高い取り組みへと発展させていく必要があります。そのためにも県内のグリーン・ツーリズムの取りまとめである協議会と、県が連携した新たな取り組みに期待するところであります。 また、グリーン・ツーリズムを確かな産業へと発展させていくためには、人材の育成も重要であります。今年度岐阜県では、地域をプロデュースする人材を育成するためグリーン・ツーリズムコーディネーター育成スクールを開催いたしました。また、ビジネスモデルの構築に向けて地域資源の掘り起こしや、企画立案、原価計算からPRの手法等を学ぶグリーン・ツーリズム地域課題解決実践型講習会も開催されたところであります。 これらの取組は、私の地元山県市で実施をしていただき、実際に企画立案をした事業内容については実証実験を行い、すぐにでも事業化ができるような地域資源の付加価値を高める内容となっておりました。 一方で、グリーン・ツーリズムのビジネスモデル構築が進む中で、明らかになった課題もあります。特定の地域に一定の方々を定期的に呼び込むこととなると、その地域で暮らす方々との合意形成は必要不可欠であります。 また、さきに紹介をさせていただきました大自然に囲まれた中でのテントサウナを常設する際には、公衆浴場法の許可が必要となり、テントサウナ周辺を目隠しで覆い、周辺から見えない状況をつくらなければなりません。これでは、せっかくの豊かな自然に囲まれた環境が台なしになってしまいます。 そのほか農業体験等を実施した後に、次の会場まで移動する際の送迎に関する許可についてなど、様々な課題があります。グリーン・ツーリズムの参入を想定していなかった時代の法律や条例等に抵触してしまうため、グリーン・ツーリズムの推進と並行して必要な規制緩和が実施されるよう関係機関との調整や取りまとめも必要となります。 今年度からスタートしたぎふ農業・農村計画の中では、グリーン・ツーリズムの推進による農村地域の活性化として、地域が一丸となった持続可能なビジネスとして実施できる体制づくりを支援するとされております。今後のグリーン・ツーリズムには、持続可能な農村地域の形成や、地域の新たな産業構築に寄与する大きな可能性があります。その実現に向けて鍵となるのは、講習会の継続による地域のコーディネーターや事業主体となる人材の育成、ビジネスモデルの構築に向けた伴走型の支援、「ぎふの田舎へいこう!」推進協議会と連携した新たな取り組みの実施、そしてさらには必要な規制緩和だと考えます。 そこでこれらの課題を踏まえ、県として今後どのようにグリーン・ツーリズムの推進をしていくのか、農政部長にお尋ねをいたします。 最後になりますが、資料の一を御覧ください。 こちらは私の地元山県市にあります神崎川の写真であります。この神崎川は武儀川の支流で長良川の源流域の一つでもあります。石灰岩質の地層から湧き出す円原川の伏流水が注ぎ込み、どこまでも透明で、深い場所では鮮やかなエメラルドグリーンに輝きます。あまりにもこの美しい輝きを神崎ブルー、癒やしの清流と称され、全国から足を運んでいただいております。 そして、こちらが円原川になります。この円原川はぎふ水と緑の環境百選にも選ばれ、木々の間から太陽の光が差し込む現象を円原川の光芒と言われております。夏場の朝、気象条件によって発生する川霧に光が反射して、まるで光のカーテンのような幻想的な光景を、こちらも全国から足を運んで、この場所に訪れていただいております。 このように、この地域にしかない資源であったり、本物のよさを大切にしながらグリーン・ツーリズムの推進に努めていただきたいと思います。どうですか皆さん、癒やされましたでしょうか。 がらっと話は変わります。次に二点目で、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づく措置入院制度の運用についてお尋ねをいたします。 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、いわゆる精神保健福祉法の第二十三条の規定によると、警察官は職務を執行するに当たり、異常な挙動その他周辺の事情から判断して精神障がいのために自身を傷つけ、または他人に害を及ぼすおそれがあると認められる者を発見したときには、直ちにその旨を最寄りの保健所長を経て都道府県知事に通報しなければならないとされております。これがいわゆる二十三条通報であります。同様に検察官による二十四条通報、保護観察所長による二十五条通報、矯正施設長による二十六条通報などがあり、この通報等を受けると、都道府県知事は同法第二十七条に基づき調査の上必要があると認めるときは、その指定する二人以上の精神保健指定医に診察をさせなければならないとされております。この診察のことを措置診察といいます。 また、措置診察の結果、その診察を受けた方に精神障がいが認められ、かつ医療及び保護のために入院させなければ、その精神障がいのために自身を傷つけ、または他人に害を及ぼすおそれがあると認められたときは、御本人の意思にかかわらず、知事の権限により国等の設置した精神科病院または国の定める基準に適合するものとして知事が指定した病院に入院させることができるとされております。これを措置入院といいます。 今回の質問では、精神保健福祉法に基づく、この措置診察や措置入院の件数が全国平均と比較して本県は著しく少ない現状への問題認識と、適切な措置診察、措置入院の運用について提案をさせていただきます。 そもそも警察官による二十三条通報については、通報の受理から措置診察、措置入院に至るまでの標準的な手続について、厚生労働省が措置入院の運用に関するガイドラインを定め、各都道府県に示しております。このようなガイドラインの中で、件数について見てみますと、本県における令和二年度の警察官による二十三条通報は二百件でした。うち措置診察が必要と判断された方は僅か二十二件であり、その後措置入院が必要とされた方は十九件でありました。措置診察が必要となった場合の多くは措置入院の決定がなされていますが、警察官通報全体に占める措置診察の実施割合は一一%であり、全国平均の五一・二%と比べ五倍もの差が生じているのが現状であります。 配付資料の二を御覧ください。 警察官による二十三条通報件数が、本県に近い隣接県と比較しても、石川県では二百十三中百一件、三重県では二百五十七件中二百五件、滋賀県では二百件中百二十一件と本県は明らかに措置診察の件数が少ない状況にあります。 措置診察は、措置入院が必要な状態であるかを判断するための診察であり、御本人の意思に基づく通常の診察とは異なり強制力を伴うことから、受ける方の人権はもちろん尊重しなければなりません。しかし、措置診察を受け適切な医療的判断を受けること、それによって適切な処置を受けることも、その方にとって重要な権利と言えるのではないでしょうか。そもそも自傷行為、他害行為が疑われ警察官通報を受ける方の中には、自己判断が困難な方や身近に相談ができる方がいない方も一定数いることが十分考えられ、やはり行政が介入し、一定の措置による対応がなされることも必要と考えます。 生産性の向上の流れの中で高い仕事の質が求められるプレッシャーや、生活不安に対するストレスの増加など、様々な要因により国内の精神障がいの方は増加傾向にあります。もちろん適切に治療を受け、日常の生活を維持するため懸命に治療に当たっている方も多く見えます。その一方で、相談できる方が身近におらず適切な治療を受けていないなど、本人の意思とは別に自傷行為や他害行為に至ってしまうケースもございます。 令和元年度の受刑者における精神障がいの比率は一五・三%と、犯罪を犯してしまった方々の中に一定数精神障がいを抱える方が見えます。適切な診察や治療を受けていれば罪を犯すことや被害を受ける方もいなかったかもしれません。 本県における措置入院制度の運用に関する課題の一つとして、精神保健分野における保健所の体制の脆弱さがあると考えます。現在はコロナ禍で、保健所業務は当然のことながら平時の対応ではありませんが、コロナ以前でも保健所の精神保健分野における業務は大変切迫しておりました。保健所の職員の方は勤務時間外に業務用の携帯を交代で持ち帰っており、警察官による二十三条通報が入った場合には自宅から現場に駆けつけ、措置診察の必要性を判断することもありました。 コロナ禍以前の平成三十年度では、二十三条通報が年間三百九件ある中で、時間外で自宅等から現場に出向く対応に当たっていただくケースは八十二件、二六・五%発生しておりました。また、多くの都道府県では、保健所に精神保健福祉士も配置されておりますが、岐阜県内の七か所設置されている県保健所には配置されていないのが現状であり、通報への対応は保健師が行っております。 措置入院制度の適切な運用は、今まさに自傷・他害の危険性がある方への適切な医療対応だけでなく、将来その方が同じことを繰り返さないように、本人も周りの方も守るための一つの支援策であると思います。そして、措置入院制度の適切な運用には、保健所の精神保健分野における体制の整備も必要不可欠と考えます。 そこで健康福祉部長にお尋ねをいたします。 精神障がい者に関する警察官通報への対応において、通報件数に対する措置診察の実施件数が全国的に見て岐阜県は少ない状況にありますが、措置診察の必要性の判断について岐阜県ではどのように運用を行っているのでしょうか。また、全国の状況を踏まえ、今後の対応についてどのように考えているのか御所見をお尋ねいたします。 決して精神障がいを抱える方々を否定するものではなく、自身の意思とは別に自傷行為や他害行為に及んでしまう状況を事前に回避をしていく。そして当然のことですが、他害行為によって被害に遭われる方を一人もいない社会を築いていくため、この質問をさせていただきました。偶然にも昨日、同様の内容が新聞に掲載されておりましたが、誰かの行動を否定するものではなく、関係機関と連携しながらこの直面する課題に向かっていただきたいと思い質問をさせていただきますので、前向きな御答弁をいただければありがたいと思います。 ここで前半の質問を終わらせていただきます。 ○副議長(松岡正人君) 農政部長 長尾安博君。    〔農政部長 長尾安博君登壇〕 ◎農政部長(長尾安博君) グリーン・ツーリズムの推進についてお答えいたします。 グリーン・ツーリズムの推進に当たっては、地域の取り組みをプロデュースできる人材の育成と、地域が一体となったビジネスとして実施するための体制づくりが重要です。このため、今年度新たに取り組みの核となる人材を育成する講習会を開催したところであり、今後も引き続き県内各地域で開催をしてまいります。 また、地域の体制づくりに向けては、「ぎふの田舎へいこう!」推進協議会と連携し、取り組みに必要な専門家を農泊アドバイザーとして派遣しているほか、体験施設と宿泊施設が連携した滞在型プラン開発の実施経費を支援しております。今後はさらにワーケーションプランの提案を行うなど、新たなビジネスモデルの構築に向け支援をしてまいります。 なお、各種規制等の課題については、関係部局と連携し、解決に向け取り組んでまいります。 ○副議長(松岡正人君) 健康福祉部長 堀 裕行君。    〔健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部長(堀裕行君) 措置入院制度における措置診察の運用についてお答えします。 精神障がい者が自らを傷つける等の行為に及んだ場合は、通報を受けて休日・夜間を問わず保健所職員が現場に臨場して状況を把握し、精神保健指定医による措置診察を行うか否かを医師である保健所長が決定しています。特に、警察官から通報を受ける事案は突発的な行動が原因である場合が多いことから、その行動に至った経緯や背景を詳細に調査し、可能な限り本人や御家族等の話合いを通じて判断する等、患者の人権に配慮した運用を行っております。 一方で、全国的に措置診察や措置入院の流れについて国が定めたガイドラインに沿って運用している中で、岐阜県における措置診察の件数が他県に比して少ないのではないかとの御指摘については、精神医療の専門家、人権問題の有識者の方々の御協力をいただき、精神障がい者の措置診察等を議論する検討会議を早急に立ち上げ、運用の在り方について議論を深めてまいります。また、それを支える保健所の体制強化についても総務部と連携して検討してまいります。 ○副議長(松岡正人君) 十六番 恩田佳幸君。    〔十六番 恩田佳幸君登壇〕 ◆十六番(恩田佳幸君) それぞれ御答弁いただきましてありがとうございました。 次に、今後の県立山県高校の活性化についてお尋ねをいたします。 第三次教育ビジョンでは、基本方針「ぎふへの愛着をもち、世界に視野を広げ活躍する人材の育成」の中で、「未来を創り出す人材を育成する学校づくりと地域との連携の推進」を目標として掲げています。これに対する取り組みとして、生徒数の動向や地域との結びつきの状況を踏まえ、活性化が求められる県立学校については、地域社会と結びつける学習支援策を検討、実施することで学校の活力向上を図るとしています。 山県高校については、岐阜地区の中で唯一この取り組みの対象校とされており、山県市や商工会など地域の皆様から御協力をいただきながら、小規模校の利点を生かした活力ある高校づくりを進めていただいております。 具体的な取り組みとしては、山県市から支援をいただいて整備をした3Dプリンターや、県内の他校に先駆けて整備をしていただきましたタブレット端末なども活用しつつ、平成三十年度から学校における職業教育と企業内学習の二つを同時に進め、企業就労につなげるデュアルシステムを導入しました。また、地元企業での実習や、国際たくみアカデミー東海職業能力開発大学等の県や国の施設を活用した授業などを行うとともに、令和元年度には単位制普通科への学科の改編も行いました。ここで本格的にものづくりコースの取り組みをスタートさせ、地域におけるものづくり・工業系の学びを通じて、ふるさと教育や探求的な学びを実践する取り組みが進んでいます。 私自身、以前にデュアルシステムで企業実習に参加した生徒の報告会を拝見させていただきました。参加した生徒の皆さんの報告からは、実習に対する満足感や達成感が伝わってきました。何をなぜ学ぶのかといった自分自身の考えを深める経験となった、実習を通じて就労への意識が高まったとの意見を伺いました。また、担当された学校の先生からも、ふだんの学校生活での学びではなかなか感じることができない生徒の成長が見られたとのコメントもありました。 このデュアルシステムの取り組みは、生徒を受け入れてくださる地元企業の方々や、商工会、山県市の協力があり実施できておりますが、この取り組みを知った他の企業からも、自分たちの会社でもデュアルシステムを活用して生徒を受け入れたいと前向きに希望する声が届いています。現在はものづくりに関する企業を中心に実習が行われていますが、生徒や地元企業の意向も踏まえ、例えば建築や土木、介護や保育など、さらに対象となる業種を広めていくことにより、高校にとっても地域にとってもさらなる活性化につながるのではないかと感じます。 また、デジタル技術・データを使いながら社会を創造するSociety五・〇の実現に向け、ICT教育の重要性はますます高まってきており、ソフトピアジャパンやIAMAS等の専門的な外部機関との連携した取り組みも本格的に実施していただきたいと思います。 今後の活性化策の提案として、類型の専門性を深めるとともに、類型内での学びの幅を広げるSociety五・〇を見据えた情報分野の強化を重視した学校設定科目等の新設などを行っていく必要があると考えます。 そこで教育長にお尋ねをいたします。 山県高校のさらなる活性化に向けて、デュアルシステムの発展や本格的な情報分野での活性化、外部機関との連携など、生徒と地域のニーズに沿った取り組みが必要と考えます。今後の山県高校の活性化の取り組みについて御所見をお尋ねいたします。 次に、メモリアルセンターを活用した子供たちのスポーツ振興についてお尋ねをいたします。 二月二十日に閉幕をいたしました北京冬季オリンピックでは、本県ゆかりの多くの選手が活躍をし、そして多くの県民の皆様に感動を与えていただきました。子供たちがスポーツに興味を持つきっかけは様々なものがあります。昨今のオリンピック選手の活躍はもちろんですが、各種競技のプロスポーツ選手の活躍であったり、例えば地元の高校生が野球やサッカーなど、各種大会で活躍する姿を見聞きすることもきっかけの一つではないでしょうか。 私もちょうど小学生の頃、プロサッカーリーグJリーグが開幕をいたしまして、岐阜メモリアルセンターでワールドカップで活躍をした選手のプレーを直接目にし、小学生ながら鳥肌が立つほど感動した記憶を鮮明に覚えております。 メモリアルセンターは、プロスポーツの試合が開催される県内で最高峰の競技施設ですが、FC岐阜のホームタウンデーの折には、子供たちが試合前にプロサッカー選手と同じグラウンドでプレーする機会が設けられております。いつかはこの場所で、今度はプロサッカー選手として活躍する夢を抱いた子供たちもいるのではないでしょうか。子供の頃の時代に特別な場所でスポーツの経験を積むことは、子供の夢を育て、また未来の可能性を広げるきっかけにもなります。 現在、岐阜県において、子供たちのスポーツに対する夢を応援する取り組みとして、「輝け!未来のアスリート応援プロジェクト」事業が行われております。この事業は、ふだん以上に自分が輝く体験づくりとして、ふだんは使うことができないメモリアルセンターを小学生が参加する部活動やクラブチーム、スポーツ少年団などに無償で貸し出すことで、子供たちがいつかここで大きな大会に出られるように頑張ろうと思うきっかけづくりをサポートする事業であります。 このプロジェクトは、岐阜メモリアルセンターの指定管理者である岐阜県スポーツ協会による自主事業で、施設の貸出しは小学生と中学生、高校生に対し、隔年で対象を変え実施しています。令和二年度には「青春の花道応援プロジェクト」として、コロナ禍で多くの大会が中止になった中学生、高校生を対象に、九種目の競技で二十一チーム、千人が参加し、事業が実施されました。令和三年度は先ほど紹介をさせていただきました「輝け!未来のアスリート応援プロジェクト」と名称を変更し、今年度は小学生を対象とし六種目の競技で十チーム、二百八十二人の子供たちにメモリアルセンターを活用し、スポーツを楽しむ機会を設けていただきました。 今年度は、私の地元山県市軟式野球連盟も当事業を活用させていただき、長良川球場で連盟に所属する三チームの小学校六年生を対象に、混合チームにて交流試合を行わせていただきました。中には、このような大きな球場で野球をすることが一生の間で今回が最初で最後になる子供たちもいると思います。あるいは、球場等の施設を保有する市町村は限られていることから、一度もこのような会場でプレーすることなく、そのスポーツ経験を終える子供たちもいるのではないでしょうか。 現在は、コロナ禍でスポーツの実施についても多くの規制や制限がなされ、希望が見いだしにくい時代ではありますが、このような県内でも最高峰の競技施設でスポーツをする貴重な体験の創出は、子供たちの夢を応援するすばらしい取り組みであります。県としても、こういった岐阜県スポーツ協会などの取り組みを支援して、子供たちのスポーツ振興や夢を応援する事業をさらに発展させていくべきではないかと感じます。 そこで清流の国推進部長にお尋ねをいたします。 子供たちのスポーツ振興や夢の応援のため、憧れの岐阜メモリアルセンターでスポーツ大会ができる機会を充実させることは重要だと考えますが、御所見をお尋ねいたします。 次に、持続可能な消防団組織体制について質問をさせていただきます。 これまで岐阜県では、消防団員の確保に向けて様々な施策を進めてまいりました。その結果、全国的に消防団員の確保に苦慮する中で、昭和六十年以降減少傾向にあった本県では、平成二十七年度から平成二十九年度にかけて一旦増加に転じました。 平成二十六年度から始まりました「ありがとね!消防団水防団応援事業所制度」や、平成二十七年度から開始した消防団加入促進事業費補助金などの各種施策が消防団員の確保の一助になったと考えられます。その後も、消防団員雇用貢献企業報奨金や機能別分団等導入促進事業費補助金など、消防団員の確保や災害時の体制強化に様々な角度から施策を展開し、確かな成果が上がりつつあります。 また、岐阜県消防団員の平均年齢は、令和二年四月一日現在で三十八・七歳となっており、全国の消防団員の平均年齢四十一・九歳と比較しても三・二歳若く、若い消防団員が新たに加入していただいたことも確認できます。 しかし、人口減少や多様な働き方など生活スタイルの変化により、消防団員の確保は根本的な課題解決に至っておらず、岐阜県においても平成三十年度から再び減少傾向へと転じました。 消防団員数の推移を改めて御紹介をさせていただきますと、昭和六十年には二万四千六百三十四人の所属団員でしたが、令和三年には二万一千五百十八人と三十七年で約一三%減少となっており、県内の多くの消防団で団員が定員に足りていない現状であります。 私も現役の消防団員として日々の消防団活動に従事をしてきましたが、新入団員の確保には非常に困難な状況に直面をしおります。 人口減少社会の中で、地域防災力を維持していくための根本的な解決方法として、消防団員に代わる代替えの防災力を確保していき、人口減少社会に沿った消防団の縮小を是とするのか、あるいは消防団組織を維持して防災力を確保するため、消防団員の在籍年数を伸ばしていくための施策を展開するのか、どちらかではないかと考えます。私は、やはり消防団は地域防災力の要としてなくてはならない存在だと考えますので、後者の方向性で施策展開をしていくべきと考えます。 実際に消防団組織を維持するため、県内の消防団員で二十年以上在籍していただいている方は、この二十年間で倍増しております。 そもそも消防団員は非常勤公務員であり、各団員の崇高な志と郷土愛による時代の変化を感じさせない強い使命感で組織体制を維持してきた面があります。しかし、社会常識や価値観の変化もあり、団員の使命感に頼り過ぎるのではなく、団員の負担を軽減し、報いるべきところはしっかりと報いるよう消防団制度の見直しを図るべきと考えます。 例えば消防団員が退職した際に支給される国の退職報償金制度ですが、これは五年、十年、十五年と五年ごとの区切りで、最長三十年まで在籍した年数に応じて退職報償金が支払われる制度となっております。通常の会社員や公務員の退職金は長期間在籍するほど多くの額が支給されると思いますが、消防団員の退職報償金は対象となる勤務年数が五年区切りとなっているため、例えば活動年数が五年の方も九年の方も支給額は同額であるなど、長く活動していただいた方が恩恵を感じづらい制度となっております。これは、この退職報償金制度の創設が昭和三十九年度と比較的若い世代が多い、消防団員の確保が容易であった時代に制度設計されたものであり、消防団員が長期間在籍する現在の状況には合っていないのではないかと考えます。 そこで危機管理部長にお尋ねをいたします。 消防団員が長期間在籍する状況に対応し、持続可能な消防団とするため、県はどのように取り組んでいくのか御所見をお尋ねいたします。 いろいろ質問いたしましたが、以上で質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(松岡正人君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 今後の県立山県高校の活性化についてお答えします。 山県高校では令和元年度から単位制を導入し、普通、工業、商業、福祉の四つの類型ごとに開設された科目から、生徒が興味や進路希望などに合わせて選択する形で学習を展開しております。また、地元企業での実習を高校卒業の単位として認めるデュアルシステムを導入しており、今年度の卒業生からは、企業実習を通じて専門的な知識や技術、そして働くことの大切さを学ぶことができたなどの感想が寄せられていることに加え、受入先の企業に就職する生徒も出てくるなど、これまでの活性化に向けた取り組みの成果が確実に表れております。 来年度は、新たに福祉類型においても高齢者福祉施設での実習を計画するほか、現在IAMAS等と連携した取り組みを始めるための調整を進めているところです。さらには来年度の入学生から情報分野にも力を入れるため、アプリケーション開発など学校独自の科目を開設するなど、活力ある学校づくりに取り組んでまいります。 ○副議長(松岡正人君) 清流の国推進部長 丸山 淳君。    〔清流の国推進部長 丸山 淳君登壇〕 ◎清流の国推進部長(丸山淳君) 岐阜メモリアルセンターを活用した子供たちのスポーツ振興についてお答えいたします。 岐阜メモリアルセンターは、県スポーツ振興の中核施設として、主に全国的・全県的なスポーツ大会の用に供する子供たちにとって憧れの施設です。こうした施設のすばらしさを体験してもらう機会を充実することは、子供たちに夢や希望を与え、スポーツ活動への意欲向上にもつながる大変重要な取り組みであると認識しており、県でもこれまで同センター施設において、小中高生等を対象に各種スポーツ体験教室を開催してまいりました。 加えて、コロナ禍の影響で生じた施設の空き時間を活用して実施している「輝け!未来のアスリート応援プロジェクト」については、現在隔年で対象を小学生と中高生で入れ替えているところを、今後は毎年小中高生を対象とするなど、施設本来の利用を妨げない範囲で事業を拡充できるよう県スポーツ協会と調整を進めてまいります。 さらに、FC岐阜や岐阜スゥープスなど、県内トップチームが同センターに一堂に集い、子供たちが憧れの選手と共に様々な種目のスポーツを体験できるイベントの開催などにも取り組んでまいります。 ○副議長(松岡正人君) 危機管理部長 渡辺正信君。    〔危機管理部長 渡辺正信君登壇〕 ◎危機管理部長(渡辺正信君) 持続可能な消防団組織体制についてお答えいたします。 県では、消防団協力事業所への税優遇など、消防団確保の取り組みを進めてきましたが、同時に団員の確保及び定着を図るべく、団員の負担軽減や処遇改善を進めてまいります。 まず、団員の負担感が大きいとされている操法大会の在り方を消防技術習得という本来の意義を徹底した大会となるよう市町村や県消防協会とともに見直してまいります。 次に処遇改善では、団員の労苦に見合う報酬額の適用を市町村に働きかけており、四月には三十七市町村で国基準額を満たす見込みです。なお、退職報償金については、市町村の御意見を伺いつつ、現行五年刻みとなっている支給額の細分化、長期間在籍した団員への割増し算定など、国に対ししっかりと要望してまいります。 加えて、家族や地域住民の消防団への理解や感謝を深め、団員がやりがいを感じて活動を継続いただくよう市町村と連携し、展示イベント、新聞、テレビ、SNS、動画配信など、多様な媒体で消防団の役割や活動内容などを積極的に広報してまいります。 ○副議長(松岡正人君) 四十七番 岩井豊太郎君。    〔四十七番 岩井豊太郎君登壇〕(拍手) ◆四十七番(岩井豊太郎君) 今議会も最後になりまして、二十人以上の方が県政各派にわたって質問されました。私も今日は、障がい者福祉の充実とそれから納税問題、二問について質問させていただきますので、知事さんはじめ執行部の方の前向きな答弁を期待しまして、ただいまから質問に入りたいと思います。 まず最初に、ぎふ清流GAP評価制度について二問質問させていただきます。 一昨年、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの開催が、コロナウイルス感染症により一年延期となりました。開催を延期した昨年コロナ禍での開催には世論が荒れましたが、結果として予定どおり開催することができ、無観客ではありましたが日本の国民の方に大きな感動を与えることができました。 東京オリンピック開催に当たり、「平和の祭典」「多様性と調和」「復興五輪」「コロナに打ちかったあかし」など多くの理念、スローガンが掲げられました。東京五輪の後開催されました障がい者のスポーツの祭典パラリンピックの理念は、多様性を認め合う共生社会の実現であります。障がいを乗り越え、あるいは障がいとともに創意工夫で限界に挑む選手たちの姿は、障がいの有無にかかわらず、様々な困難を抱えて生きる私たちの前に進む勇気を与えてくれました。パラリンピック大会も大きな感動と勇気を残した大会だったと思います。 先日、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は、選手村などで提供した食品や食材調達の実態を明らかにしました。使用した生鮮食品のうち国産は六〇%でありましたが、これは国内で調達できなかった食品があったためだと説明されております。大会期間中、選手村では計百二十八万食が提供されました。米七十一・八トン、野菜百二十九・八トン、果実百八十五・七トン、肉類百十七・四トンなどが調達されました。このうち国産は野菜が一〇〇%で、米が八三%でありました。一方、肉類は四八%、果実は四二%でありました。これは国内で栽培が少ない熱帯果実や長流米、油質の少ない赤身牛肉などを輸入したため、ハラール認証を受けた食材などの調達は難しかったと報じられております。 また、食品ロスでは大会期間中、スタッフなどに提供された弁当など百六十万食のうち三十万食が廃棄されたと報道されております。多くのレガシーを残してくれた東京二〇二〇オリ・パラ大会でありましたが、開催の三年ほど前から本県の農畜水産物を生産しておられる生産者からは、この大会の選手あるいは役員関係者に本県産の食材を提供したいという強い要望がございました。 古田知事には大変御苦労いただきまして、平成二十九年度頃からプロモーション活動をしていただきました。「清流の国ぎふ」おもてなし食材披露会をはじめ、毎年各種のイベントを企画していただいて、本県の農畜水産の食材をPRしていただきました。このような首都圏における県産食材の認知度の向上は、活動のおかげで東京オリ・パラ大会の選手村食堂での飛騨牛、アユをはじめとする九品目の県産農畜水産物の食材が提供されることができました。食材提供数では、東京都、北海道に次いで三番目に多く、大きな成果となりました。 東京オリ・パラでの成功を踏まえて、県内の農業者をはじめ、農業団体からは岐阜県GAP確認制度を継続して、本県独自で国際水準に準拠し、評価料金も安価で生産者がより取り組みやすい新たなGAP制度を再構築してほしいという強い要望が多くございました。県としても、このような要望に応える新たなGAP制度として、令和二年十一月にぎふ清流GAP評価制度として立ち上げていただきました。 この制度は、国際水準GAPに準拠した百九項目の基準で農場評価し、一定水準以上の評価を得た生産者に対して、県から評価証書を交付するものとなっております。この制度の理解促進と早期定着を図るためには、生産者だけでなく、流通業者や消費者に対してもGAPの取り組みが正しく理解されることが重要であると思います。 この制度には、食品安全、環境保全、労働安全、人権保護、農場経営管理の五つの項目があります。私が、この五つの項目の中で特に重要な三つの項目を取り上げてみたいと思います。 まず食品安全であります。これは、農家が肥料・農薬などの安全性の確認と、適正な使用で生産した安全な農産物を安心して消費者に提供することができるということであります。次に、環境保全だと思います。農業を取り巻く環境問題は脱炭酸社会を目指す環境の中で、生物の多様性を維持することだと考えております。三つ目は、労働安全であります。この問題は先ほどの森県議の質問と重複するところがございますが、私の別の角度からこの問題について質問したいと思います。 先日、「二〇二〇年、農業作業事故が二百七十人」というショッキングな見出しの新聞記事がございました。農業従事者の死亡事故が、十万人当たり前年より〇・六人増えて十・八人となり、過去最多を更新いたしました。これは、全産業平均の一・二人を大きく上回る状況でありまして、危険性が高いと言われております建設業の二〇二〇年の事故死者数は十万人当たり五・二人であり、農作業事故の死亡事故が圧倒的に多いということでございます。 一方、岐阜県における農作業事故の死者は、二〇一九年には四人でしたが、二〇二〇年には六人と残念ながら増加している状況であります。このような死亡事故をなくすには、農家の皆さんがGAP評価制度を理解し、労働安全に力を入れていただくことだと私は思っております。 さらに、ぎふ清流GAP評価制度は、SDGsの達成に資する取り組みでもあります。 お手元の資料を見ていただきたいと思います。 この資料ですけど、この資料は右下にも書いてありますように、先般のSDGsのセミナーに出されたこの資料なんですけど、これはぎふ清流GAP評価制度の第一号の認証を受けられました下宮青果部会協議会のごうど下宮GAP組織がつくられたものでございまして、このようにぎふ清流GAP評価制度は、生産者の立場からSDGsを意識した農産物の生産を行っておられまして、農業者の取り組みを消費者に知っていただきたいという思いでこのような資料をつくって、そして多くの方に配付しておられるということであります。 このように、ぎふ清流GAP評価制度には多くのメリットがありまして、私は今後、持続可能な農水産物を生産している農家の方が生き残っていくのには、GAP評価制度を目指す見識ある経営者が生き残っていくと確信をいたしております。 そこでぎふ清流GAP評価制度に関しまして、二点質問をさせていただきます。 まず一点目として、ぎふ清流GAP評価制度の支援体制を県内生産者に理解していただき、今後どのように加入促進を展開されるか、また清流GAP農産物をいかに県民にPRしていただき買っていただくかが重要でありますが、先日清流GAPパートナー制度の紹介もありました。このような流通・販売で生産者を応援していただくパートナー制度も含めて、商品拡大にどのように取り組んでいただけますか、知事さんにお尋ねしたいと思います。 二点目は、今後、清流GAP商品を海外輸出展開に取り組んでいただきたいと思いますが、どのように取り組んでいかれますか。また、二〇二五年には開催が予定されております大阪・関西万博を契機として、県としてどのようにブランド力の発信をしていかれるか、また売り込みを考えておられるか農政部長にお尋ねをいたします。 次に、二点目の質問といたしまして、農業のデジタル化についてお尋ねをいたしたいと思います。 日本の農業は大きな変革のときを迎えていると思います。人口減少や高齢化により、農業就業人口は減少の一途をたどり、活力を失いつつある農業をいかに回復させるか、重要な分水嶺に立っていると思います。 農業イコール斜陽産業と言われていた苦境にあえいでいた時代もありますが、安倍政権においてアベノミクスでは農業の成長産業化の政策が掲げられ、骨太の方針の中では流通改革、あるいは規制緩和の施策が実行され、企業の農業参入が急増し、企業にとって農業は新規ビジネスの有望選択肢になってきたということで、農業が上向きつつあるということの、これも要因だと言われております。 近年、このような流れの中で、私は日本の農業の未来を背負っていくのは、AI、IoTなどの先進技術を駆使するスマート農業だと思っております。農業用トラクター、あるいは農業用ドローン、生産管理システムなどの多種多様な機種や商品が実用化され、スマート農業は労働力や農業のノウハウの不足を補う農業者を支える欠かせない存在となってきたと思います。 しかし、スマート農業だけで日本の農業の問題が全て解決されるわけではありません。それは、農村地域が抱える課題です。農業を起点に活気ある地域をつくるには、農業と農村全体をデジタル化し、もうかる農業と住みやすい農村を両立させることが重要であると考えます。 さらに、農業は産業としての農業、地域振興としての農業という両面で進めていかなければなりません。 昨年九月、菅政権の下でデジタル庁が発足いたしました。コロナ禍において、行政では各種給付金の申請・支払いに混乱が生じたほか、民間においてもテレワーク環境の不備や押印慣習による非効率性など、諸外国に比べて官民ともにデジタル化が非常に遅れている実態が明らかになりました。 私は、この背景には次の三つの理由があると考えます。 一つ目は、日本のデジタル化の遅れは、先ほど述べましたコロナ禍で、テレワーク環境の不備や押印の慣習の非効率性など、官民ともに諸外国より遅れている状況の一端が明らかになりました。二つ目は、二〇二五年の崖への対応です。二〇二五年頃には既存のITシステムの多くが老朽化や複雑化、ブラックボックス化などによって市場の変化に対応できなかったり、維持管理コストが増大したりすると懸念されております。この問題を解決しないと飛躍的に多大な経済損失が発生しかねないと言われているということであります。三つ目は、二〇二五年問題への対応、すなわち約八百万人いる団塊の世代が二〇二五年には七十五歳以上になることで、国民の五人に一人が後期高齢者という超高齢化社会を迎えることになります。それに伴い、労働力人口の減少や社会保障費などの増大などに様々な問題が噴出することが予想されます。 この三つの問題への対応は、日本の将来の成長と安定に欠かせない課題であります。さらに、この三つの対応に共通するのがDXの推進であります。産業、官民の枠を超えて取り組んでいかなければならないとの機運が高まっております。 この流れを受け、農業分野においては、二〇二一年三月に農林水産省から農業DX構想が発表されました。これは、農業が将来にわたって持続性を確保しながらこの役割を果たしていくためには、農業者の高齢化や労働力不足が進む中、新技術の導入により省力化等を進めながら、消費者に評価される価値を生み出し、提供していくことが必要であると著しております。 このため、デジタル技術は活用されるべきであり、ロボット、AI、IoTなどの技術の現場実装を強力的に進めることにより、データを活用した生産力の高い営農を実行しつつ、消費者の需要をデータで捉え、消費者が価値を実感できるような形で農産物や食品を提供していく農業への変革が実現されます。つまり物ではなく、消費者が求める価値を売るのが現代における農業のあるべき姿ではないかと思います。 デジタル化は、それ自体が目的ではなく手段であると言われております。本県では、このたび令和四年度から令和八年度までの五年間を計画期間として施行される誰一人取り残されないデジタル社会を目指して、岐阜県デジタル・トランスフォーメーション推進計画--案ですけど--が示されました。 本県のDX推進計画の策定に当たっては、県民を誰一人取り残さないという基本理念で取り組まれるデジタル社会への創設を期待しまして、以下質問をさせていただきます。 本県の農業におけるDXについて、二点農政部長に質問いたします。 一点目は、農業DXとしてスマート農業の推進やインフラ装備をはじめとする農村地域のデジタル化にどのように取り組まれるか、農村地域のデジタル化に向けた取り組みについてお尋ねいたします。 二点目として、農業DXを今後ぎふ農業・農村基本計画にどのように取り入れていかれるか、ぎふ農業・農村基本計画における農業DXの位置づけについて農政部長に質問いたしまして、前半の質問といたします。 ○副議長(松岡正人君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) ぎふ清流GAP評価制度について、加入促進と消費拡大の取り組みについてお尋ねがありました。 まず東京オリンピック・パラリンピック大会におきましては、選手向けの食材として飛騨牛など九品目を提供いたしました。また、選手村のカジュアルダイニングでは、東京都、北海道に次いで、全国三番目に多い食材を本県から提供し、大いにアピールをさせていただきました。 また、大会の食材調達基準であるGAP認証につきましては、県内農家の取得が百三十七件に拡大をいたしまして、安全・安心の農産物という信頼性もこの機会に向上したというふうに認識しております。 この東京オリンピック・パラリンピック大会後も、こうした流れをさらに発展させていこうということで、本県といたしましては国際水準に準拠した県独自のぎふ清流GAP制度を創設し、一昨年十一月にスタートしたところでございます。 ただいま議員からは、御質問の中で本制度について大変高く御評価をいただいた次第でございますが、制度開始以来これまでに二回にわたって十八農場を認証しております。また、今月中には第三回として十七農場の認証を予定しております。合わせて三十五農場ということになるわけでございます。これらの方々には、本県農業の言わばパイオニアとして、より一層の活躍を御期待申し上げているところでございます。 また、このGAP制度の推進母体となるぎふ清流GAP推進センターを設置いたしまして、今年度までに指導員として百六十九名を育成してまいりました。これによって指導、相談体制も整えてきたわけであります。 同時に、認証農家によって生産されたGAP農産物の流通の拡大を図るために、昨年十二月にGAP農産物の流通・加工・販売に携わる企業や団体をぎふ清流GAPパートナーとして登録する制度を立ち上げたわけであります。JAグループ、大手スーパーをはじめ、現在までに五十七社の参画がありまして、GAP農産物のサプライチェーンの構築が進みつつあるということでございます。 今後でございますが、これらの仕組みをフル稼働させて、県内生産者のGAP認証のさらなる拡大と、GAP農産物の流通・消費の拡大に向けて取り組みを強化してまいりたいと思っておるところでございます。 具体的には、まずGAP認証の拡大についてでありますが、農場での指導や評価作業を例えばタブレット端末を活用するということで、認証に取り組む生産者の負担の軽減、評価期間の短縮を図ってまいります。また、認証取得に向けたポイントや、GAPに取り組むメリットなどについて理解を求めていただくために、既にGAPを実践しておられる方々の協力の下で、認証を目指す生産者が一堂に会する生産者交流会を開催してまいりたいと考えております。こうした取り組みによりまして、令和七年度末で百三十農場の認証を目指してまいります。 次に、GAP農産物のさらなる流通・消費拡大につきましては、パートナー企業の拡大を図るとともに、GAP農産物を身近に感じていただくための産地見学バスツアーの開催、産地が連携して定期的にお届けする詰め合わせ商品の開発、ホテル・旅館とタイアップした四季折々のGAP農産物を味わっていただくランチフェアの開催などを行ってまいります。 また、直接消費者に向けましては、スーパー、道の駅などでの特設コーナーの設置、ショッピングセンターやイベント会場、さらには名古屋の栄にございますアンテナショップ「ギフツプレミアム」での販売フェアを開催いたします。併せてぎふGAPの紹介動画を放映するなど、GAP農産物の魅力を広く発信してまいります。 こうしたもろもろの取り組みによりまして、ぎふGAP農産物の生産から流通・消費までの好循環の構築につなげてまいります。 ○副議長(松岡正人君) 農政部長 長尾安博君。    〔農政部長 長尾安博君登壇〕 ◎農政部長(長尾安博君) 私には三点御質問をいただきました。 まず、将来に向けた清流GAP商品のブランド発信等についてお答えいたします。 ぎふ清流GAPは、国際水準GAPに準拠した制度であり、その取得は海外での競争力の強化につながるものと考えております。しかし、現状では、今年度末までにぎふ清流GAPを取得見込みの三十五農場のうち輸出実績があるのは三農場で、イチゴ、米など一部品目に限られている状況です。このため、海外展開を視野に入れた生産者に対し、ぎふ清流GAPの取得を一層促すとともに、県としてもGAP農産物の海外プロモーションに力を入れてまいります。また、必要に応じ、グローバルGAPやアジアGAP等の取得も支援をしてまいります。 次に、二〇二五年大阪・関西万博は、GAPによって商品価値を高めて県産食材を国内外へPRする絶好の機会と考えております。このため、来年度からは関西圏の料理店等での県産食材フェアの開催や、県産食材のPR動画を作成するなど、GAP農産物の売り込みに向け取り組みを加速してまいります。 次に、農村地域のデジタル化に向けた取り組みについてお答えいたします。 農業分野のDXについては、県のDX推進計画の策定に併せて、スマート農業やデータ活用型農業の加速化などをはじめ、七つの政策の方向性を取りまとめたところです。 今後はこれに基づき、例えば農業機械の高精度な自動運転に不可欠な共同基地局や、農業用ため池の遠隔監視装置を整備するなど通信インフラを強化し、農村地域においてスマート農業による経営の維持・拡大を図ります。また、生産・流通・販売などの関係機関の連携の下、集約・解析した様々なビッグデータを誰もが有益に活用できる農業DXプラットフォームを構築してまいります。 あわせて、コロナ禍で高まる田園回帰志向の潮流を逃さないよう岐阜ならではの農村ワーケーションプランや施設予約システムの構築、VR技術を活用した農村の魅力発信などに取り組み、DXによる農村地域の活性化を図ってまいります。 最後に、ぎふ農業・農村基本計画における農業DXの位置づけについてお答えをいたします。 ぎふ農業・農村基本計画は、計画期間を令和三年度から七年度までの五か年としておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響など、昨今の社会経済状況の急速な変化に対応できるよう中間年で見直すこととしております。 一方、農業分野のDXにつきましては、県DX推進計画において農畜水産業のあらゆる分野で幅広くDX推進施策を整理するとともに、電子商取引の導入経営体数といった新たな目標も掲げるなど、県の農業政策の根幹に関わる方向性を示すものとなっております。 このため、今後、ぎふ農業・農村基本計画の見直しを行う中で、来年度中を目途に農業DXの施策を基本計画に位置づけ、反映していきたいと考えております。なお、その際には、国のみどりの食料システム戦略が目指す持続可能な農業の推進など、新たな農業の課題・方向性も踏まえて対応してまいります。 ○副議長(松岡正人君) 四十七番 岩井豊太郎君。    〔四十七番 岩井豊太郎君登壇〕 ◆四十七番(岩井豊太郎君) 前向きな御答弁ありがとうございました。 続いて障がい者福祉の充実について、二問質問させていただきたいと思います。 本県において、平成二十八年四月、障がいの有無にとらわれることなく社会で共に暮らしていく共生社会の実現に向け、議員提案条例による岐阜県障害のある人もない人も共に生きる清流の国づくり条例が施行されました。 この条例が施行されて、今年で六年ほど経過いたしましたが、本県では現在、第三期岐阜県障がい者総合支援プランが策定されました。このプランに基づいて、県内市町村では障がい者計画が策定されておりまして、私の地元の大垣でも大垣市障がい者総合支援プランが策定されておるわけでございます。 ここで、令和元年度末ですが、本県の身体障がい者の動向を障害者手帳所有者から調べてみますと、現在身体障がい者は八万三千百六十三人おられまして、知的障がい者の方が一万九千七百五十八名、また精神障がい者の方は一万七千九百三十四名で、合計十二万八百五十六人が障害者手帳を持っておられるわけでございます。 この結果を平成十五年度末と比べてみますと、十六年の期間がありますけど、身体障がい者では二・一%の増加、それから知的障がい者では七一・五%の増加、それから精神障がい者は五四六・〇%と、全ての障がいの分野においても障害者手帳を所持しておられる方が増えているわけでございます。 中でも注目すべきなのは、精神障がい者の増加でありまして、平成十五年から令和元年の十六年間の間に、実に五四六%の障害者手帳を持つ方が増えたということで、いかに精神障がい者の方が増えているかということになるわけであります。 また、等級別に見ますと、一・二級の重度の障がい者の方が三万八千二百十二人で、全体の四五・九%、また三・四級の中度の障がい者の方が三万六千二十七人で、構成比としては全体の四三・三%、それから五・六級の軽度の障がい者の方が八千九百二十五人と一〇・七%の方でありまして、この等級別に見ましても重度の障がい者の方の構成比が増加しているということで、軽度の方はその割には構成比としては少ないということになるわけです。 また、年齢別も見ますと、障害者手帳を持っておられる方で七十歳以上の方が全体の約七割を占めているということでありまして、身体障がい者の方の高齢化も見込まれるということで、このような調査の結果を見ますと、障がい者の今後の傾向は重度化と、それから高齢化ということに向かっているということが考えられるわけであります。 私は、日頃障がい者の皆さんと話合いをする機会がありまして、先日も県内の障がい者の方と移動支援のサービスに関することが話題になりまして、移動支援事業サービスは自立支援給付や市町村の地域生活支援事業として実施されておりますが、このうち地域生活支援事業は市町村が定めることとなっているので、移動支援のサービスが障がい者に機能していないのではないかと、市町村間に地域格差が生じているのではないかということが話題になったわけであります。 第三期の岐阜県障がい者総合支援プランには、県の障がい者施策の推進に当たっては、基本的な考え方や実施施策、それから分野別の施策等が記述されておりまして、このプランにはSDGsの達成に向けた取り組みの推進に関しても十分反映されておるわけですが、このプランの分野別の施策を見てみますと、まず一番目として、安心して暮らせる社会環境づくり、二番目として、社会参加と自立を進める支援の充実、三番目として、日常生活を支える福祉の充実、それから四点目として、質の高い保健・医療提供体制の整備ということで、この四つの分野にそれぞれ現状の課題、それから今後の取り組みに関して記述されておるわけです。 この中の社会参加と自立を進める支援の充実の項目について、外出や移動の支援、または移動支援の充実に関して次のように書いてあるわけです。 まず一点目、障がい者の社会参加を支援するために障がい者の外出や移動の支援を目的とした福祉サービスの一層の充実を図る必要があります。二点目として、障害者総合支援法における障がい者の移動支援のサービスは、自立支援給付や市町村の地域生活支援事業の中で行われておりますと、しかし市町村の地域生活支援事業については、支援の対象者及び範囲等について各市町村が定めることとされているため、市町村間で移動支援のサービスに格差が生じている状況であると書いてあるわけであります。 そこで、この格差に対する今後の取り組みということで、第三期岐阜県障がい者総合支援プランの中でも、障がい者の移動支援サービスの市町村間の地域格差が指摘されておりますが、県もこの実情を踏まえ、障がい者の移動支援サービスの市町村間の地域格差解消に向けてどのように取り組んでいかれるか、健康福祉部長にお尋ねをしたいと思います。 次に、障がい者の相談支援事業における身体障害者相談員の活用についてお尋ねしたいと思います。 ここで御存じでない方もあるかと思いますので、身体障害者相談員の設置の経緯を少し述べてみますと、昭和三十五年七月に、岐阜県では全国に先駆けて、同じ障がい者という立場に立って障がい者の方が持っている悩みなどを聞き、相談者の代弁者となって福祉事務所などの関係機関と連絡等をする身体障害者更生相談員、当時は三百二十三名おられましたが、これが県知事から任命をされました。その後、昭和四十二年八月に身体障害者福祉法の改正によりまして、身体障害者相談員が設置されました。発足当時は、県知事委嘱の身体障害者相談員として、県内の市町村に約五百名の知事から任命された方がおられました。その後、身体障害者福祉法の改正によりまして県から市町村に移譲され、その後また市町村長の委嘱による任命ということに変わってきたわけであります。 身体障害者相談員は、身体障がい者の生活上の様々な相談に応じ、必要な制度を活用できるよう援助するなど、福祉事務所や市役所の窓口などとのパイプ役になり、障がい者のための社会参加に関する地域活動や行事を公的機関、あるいは関係団体と協力して活動していただいておるわけであります。しかし、平成十五年に個人情報保護法が施行されまして、身体障がい者と身体障害者相談員との接点がなくなってしまったわけです。 一方、県が令和元年に行った障がい者のニーズ調査では、いつでも気軽に相談できる人、あるいは場所でということを多くの障がい者が相談支援体制として、こういったことを望んでおられるということで、この問題につきましても先ほどの分野別の施策によりまして、安心して暮らせる社会環境づくりの項目の中で、身近な相談支援体制の確立として現状と課題の中に次のように書いてあるわけです。 障がい者が日々暮らしの中で抱えているニーズや課題にきめ細かく対応し、必要に応じて適切な福祉サービスなどに結びつけていくための相談支援が必要であると、障害者総合支援法では、地域の障がい者などの福祉に関する様々な問題についての相談に応じ、必要な情報提供、あるいは助言を関係機関と連絡調整を行う相談支援事業を都道府県及び市町村が実施することと定められておるということで、さらに障がい者の相談支援事業は、障がい者に最も身近な存在である市町村が主体となって行うということにされておるわけです。 市町村では、地域生活支援事業が実施されており、その中に身体障害者相談員も参画して、同じ立場で障がい者から相談を受ける支援体制(ピア・カウンセリング)が望ましいということ。このピア・カウンセリングというのは、障がい者の方が相談するときに、相談の相手の方が障がい者の方が相談の相手になってもらうと同じ立場で安心して話ができるという、そういうことを望んでおられる、それがピア・カウンセリングということでありまして、そこで県は、市町村の相談支援事業における身体障害者相談員の活用について、今後どのように取り組んでいかれるかという点につきまして健康福祉部長にお尋ねいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(松岡正人君) 健康福祉部長 堀 裕行君。    〔健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部長(堀裕行君) 二点御質問いただきました。 まず、移動支援の地域格差解消に向けた県の取り組みについてお答えします。 障がい者の移動支援は、地域での自立した生活や社会参加の促進を目的に、地域の交通事情やニーズに応じて各市町村が対象となる利用目的や方法などを定め、柔軟に対応しているところです。 昨年七月に県が行った調査では、全ての市町村がヘルパーによる移動時の介助といった移動支援を実施していますが、対象となる利用目的や対象者の範囲、利用時間の上限等で違いが見られました。 例えば利用目的では、買物で三十八、余暇活動で三十九の市町村が対象とする一方で、通学や福祉施設等への通所を対象とするのは十市町村に限られます。このため、県では、市町村がこうした違いを認識し、他の市町村の取組を参考に今後の移動支援に係る検討を促すことを目的として、本年二月に調査結果を市町村へ提供したところです。 今後は、市町村担当課長会議等の場で、取り組みが少ない通学や通所を対象としている市町村の先行事例を紹介するなど、移動支援の地域格差解消に向け、市町村へ一層の働きかけを行ってまいります。 次に、市町村の相談支援事業における身体障害者相談員の活用についてお答えします。 身体障害者相談員は、市町村長が障がいのある当事者に委嘱し、身近な地域で障がいのある方の相談を受け、適切な支援につなげる役割を担っており、県内に約四百名おられます。 身体障害者相談員への相談は、当事者同士が悩みを共有できるピア・カウンセリングとして相談者に安心感を与える効果的な支援であると考えており、相談を受けた障がいのある方からは、「市町村が開催した相談会に参加し、相談員から障がいのある多くの仲間や参加できる行事を紹介され、活動の幅が広がった」との声があるところです。 このように身体障害者相談員に気軽に相談できる機会を設ける取り組みとして、現在県内十五市町において、相談員による相談窓口の常設や定期的な相談会の開催などが行われています。 今後は、こうした身体障害者相談員の積極的な活用事例を全市町村に紹介し、相談員のさらなる活用について市町村に働きかけてまいります。 ○副議長(松岡正人君) これをもって一般質問並びに議案に対する質疑を終結いたします。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(松岡正人君) お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、お手元に配付の議案及び請願付託表のとおり、それぞれの所管の常任委員会に付託の上、審査することにいたしたいと思います。これに異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(松岡正人君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております各案件は、お手元に配付の議案及び請願付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。 なお、審査は三月二十三日までに終了し、議長に報告願います。 △令和四年第一回岐阜県議会定例会議案及び請願付託表 委員会名付託案件総務委員会◯ 議第一号のうち歳入予算、歳出予算中総務委員会関係、債務負担行為中総務委員会関係、地方債、一時借入金及び歳出予算の流用 ◯ 議第二号 ◯ 議第十一号 ◯ 議第二十七号から議第三十一号まで ◯ 議第四十七号から議第五十号まで ◯ 議第五十四号 ◯ 議第五十六号 ◯ 議第五十八号のうち歳入予算補正企画経済委員会◯ 議第一号のうち歳出予算中企画経済委員会関係及び債務負担行為中企画経済委員会関係 ◯ 議第六号 ◯ 議第三十二号及び議第三十三号 ◯ 議第三十九号 ◯ 議第五十八号のうち歳出予算補正企画経済委員会関係厚生環境委員会◯ 議第一号のうち歳出予算中厚生環境委員会関係及び債務負担行為中厚生環境委員会関係 ◯ 議第三号から議第五号まで ◯ 議第三十四号から議第三十八号まで ◯ 議第五十八号のうち歳出予算補正厚生環境委員会関係 ◯ 請願第三十二号農林委員会◯ 議第一号のうち歳出予算中農林委員会関係及び債務負担行為中農林委員会関係 ◯ 議第七号及び議第八号 ◯ 議第四十号から議第四十二号まで ◯ 議第五十七号土木委員会◯ 議第一号のうち歳出予算中土木委員会関係及び債務負担行為中土木委員会関係 ◯ 議第九号及び議第十号 ◯ 議第十二号から議第十四号まで ◯ 議第四十三号及び議第四十四号 ◯ 議第五十一号 ◯ 議第五十五号 ◯ 請願第三十一号 ◯ 請願第三十三号教育警察委員会◯ 議第一号のうち歳出予算中教育警察委員会関係及び債務負担行為中教育警察委員会関係 ◯ 議第四十五号及び議第四十六号 ◯ 議第五十二号及び議第五十三号…………………………………………………………………………………………… ○副議長(松岡正人君) お諮りいたします。委員会開催等のため、明日から三月二十三日までの七日間、休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(松岡正人君) 御異議なしと認めます。よって、明日から三月二十三日までの七日間、休会とすることに決定いたしました。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(松岡正人君) 以上をもって、本日の日程は全て終了いたしました。 三月二十四日は午前十時までに御参集願います。 三月二十四日の日程は追って配付いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 △午後三時二十二分散会 ……………………………………………………………………………………………...